「令和の竜キラー」へ 阪神・佐藤輝 「通天閣打法」フェン直二塁打 中日戦2000試合目は執念ドロー

[ 2021年5月12日 05:30 ]

セ・リーグ   阪神4ー4中日 ( 2021年5月11日    甲子園 )

<神・中>4回無死一塁、佐藤輝はフェンス直撃の二塁打を放ち、二塁にヘッドスライディング(撮影・坂田 高浩)
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 節目の一戦は両者譲らなかった。阪神は11日、プロ野球史上初の通算2000試合目となった中日戦で4―4の引き分け。最後まで足を絡めた攻撃で古巣を追い詰めた矢野燿大監督(52)は試合後、伝統球団の歴史をかみしめた。通算成績は953勝1001敗46分け。ただ中日戦で苦しむ新4番の佐藤輝にカード12打席ぶり安打となる二塁打も出ており、「令和の竜キラー」として2001試合目以降のけん引に期待もかかる。

 両軍のユニホームでプレーした矢野監督にとっては記憶に残るドローとなった。3―4の7回、就任以来、掲げてきた足を絡めた積極的な攻撃で追いつく。9回にも2つの二盗を決めるなど持ち味を貫き、通算2000試合目の中日戦は最後まで攻め続けた。

 「やっている時は全然考えてない。終わってみてとか、やる前は多少意識はあるし、何千試合とか何百試合とかいろんな記録って、俺らだけでできることじゃない。OBの人たちがつくってきてくれた積み重ねがあっての2000。たまたま縁があって、自分は両チームにいたんでね。そういう何かの縁は感じるし。将来、思い出すようなゲームになるのかなと思います」

 自身のプロ野球人生にとっても97年オフに中日から阪神にトレードされたことが大きな転機となった。現在のコーチ陣も井上ヘッドコーチを筆頭に古巣からの人脈も多く在籍。球団にも自分にもメモリアルな試合は、首位を走る今季のチームのしぶとさを見せつける引き分けとなった。

 今後、その中日戦で輝いてほしい一人が佐藤輝だ。実は中日戦はカード別ワーストの19打数2安打、打率・105。まだ試合数が少ないとはいえ、もっとも苦手とする相手だ。その中日戦では初めて4番で出場し、4回無死一塁の第2打席で右越え二塁打。今季何度も見せてきた「通天閣打法」で無死二、三塁の好機をつくり反撃の2点につなげた。これが中日戦12打席ぶりの安打。もちろん、このカードに限った活躍を期待するわけではないが、中日戦でも打てれば、さらに成績は上向くことは疑いない。

 くしくも82年4月7日、通算1000試合目の「4番・三塁」は掛布雅之だった。掛布はカード別最高の通算打率・302を誇り、「昭和の竜キラー」と言えた。その後継者として、佐藤輝は「令和の竜キラー」への資格を有する。10日には有観客となる12日へ向け「見に来て良かったと。そういうプレーを見せたい」と意気込んでおり、その有言実行に期待がかかる。

 今季2度目の引き分けで2位・巨人とは3ゲーム差に縮まった。だがまだ貯金14。指揮官は「同点で悔しいし、反省はあるけど、ウチの野球はしっかりやれた」と前を向いた。最高の手応えを感じるチームで、新たな歴史を紡ぐ。(山添 晴治)

 《カード別初の2000試合》阪神と中日の対戦は11日の今季7回戦で通算2000試合に達した。対戦2000試合到達はカード別で初。初対戦は36年4月30日(甲子園)で阪神(当時タイガース)が中日(当時名古屋)に17―3で勝っている。通算対戦成績は中日の1001勝、阪神の953勝、引き分け46。なお、中日―阪神戦に次ぐのは巨人―阪神戦の1998試合、巨人―中日戦の1996試合で、ともに2000の大台が目前。パ同士ではソフトバンク―オリックス戦の1947試合が最多。

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