大谷翔平の本塁打記念球をキャッチしたのは…全米で「ボールホーク」と呼ばれる男

[ 2021年4月27日 06:00 ]

TDボールパークで大谷のメジャー通算50号をキャッチしたバラッシュさん(本人提供)
Photo By スポニチ

 エンゼルス・大谷翔平投手(26)のメジャーでの活躍をさまざまな切り口で取り上げる大好評企画「Monthly Shohei」は4年目に突入。二刀流としての真価を発揮しつつある今季は、地元アナハイムだけでなく、全米中の野球ファンの注目を集めている。今月9日のブルージェイズ戦で放った米通算50号のホームランボールを見事にキャッチしたのは、有名な「マニア」だった。(奧田秀樹通信員)

 フロリダ州ダンイーデンのTDボールパークで飛び出した大谷の今季3号は、メジャー通算50号となった。打球は中堅左へ。コンコースに立っていたファンが頭上を見上げると、1メートル85の長身の男性が長い腕を伸ばしてグラブでキャッチした。実況アナウンサーも思わず「Great Play!」と驚いた。

 この男性の名前はグレッグ・バラッシュさん(31)。実はある世界では有名人だ。米国では、球場のスタンドに飛んできたボールをキャッチする人たちのことを「ボールホーク(BALLHAWK=鷹のようにつかみ取る)」と呼ぶ。バラッシュさんは通算3640個をキャッチしており、「ボールホーク」の情報サイトによると、歴代4位にランクされる。大谷の打席では、左中間で待っていたが、インパクトの瞬間に素早く移動し、余裕を持って落下地点に入った。

 「左打者だと普通はライト側で待つけど、あの試合はずっとレフト側にいた。大谷はレフト方向に大きな打球を飛ばす。迷いはなかった」。10分後、友人から「通算50号らしいぞ」とのテキストメッセージが届いた。さらにエンゼルスのスタッフが現れ「あとでクラブハウスに来て。大谷がサインをしてくれるよ」と。試合後、約束通り、大谷が記念のボールにサインをしてくれた。ただ直接会うことはできず「コロナのない2年前なら本人に会えたかもしれないのに…」と残念がった。

 バラッシュさんはニューヨークのマンハッタン出身。16、17歳の頃から「ボールホーク」が趣味になった。「全米のいろんな球場に行って、その街のボールホークと仲良くなれるのが一番楽しい。全米に仲間は数百人はいるよ」と説明する。現在は子供たちに数学を教える塾で働いている。「データを読んだり、分析するのは慣れている。それはボールホークにも役立っていて、打球の方向を読むのは得意さ」と笑う。

 3640個のうち、多くは試合前の打撃練習でゲットしたもの。イチローの打撃練習でも3度キャッチしているという。「打球練習は50~60本飛んでくるけど、実際のホームランボールは簡単じゃないんだ」。事前に選手の打球方向を分析し、落下地点を予測。これまで44球場を訪れ、ボールを「捕獲」してきた経験と勘が大谷の打球にも生かされた。

 長年、外野席から多くの強打者たちの弾道を見てきた。その目に打者・大谷はどう映っているのか。「今までで一番印象的なのは、ヤンキースのアーロン・ジャッジ。飛距離や打球の強さは別格だよ。でも大谷も同じグループに入ると思う」と、メジャー屈指の飛ばし屋に匹敵すると分析した。米国を代表する「ボールホーク」も魅了する大谷の本塁打。今季は多くのお宝ハンターたちが外野席に陣取ることだろう。
 

続きを表示

この記事のフォト

2021年4月27日のニュース