【スポニチ潜入 大阪発(4)】三菱重工West・森 今永のスタイル技追求する最速149キロ左腕

[ 2021年4月6日 09:00 ]

練習試合<阪神2軍・三菱重工West>先発登板する森翔平(撮影・後藤正志)

 スポーツニッポン新聞社では、今年も企画「スポニチ潜入」でアマチュア野球の有力選手(高校、大学、社会人)を記事と動画で紹介します。大阪本社では「スポニチ潜入 大阪発」と題し、エリア内の有力選手を紙面、公式サイト「スポニチアネックス」、YouTube公式「スポニチチャンネル」において取り上げます。第5回は三菱重工West・森翔平投手(23)です。

 ひと言で表現するなら、切れ味が鋭い。整ったフォームから繰り出されるボールは周囲の空気を切り裂きながら捕手のミットへと吸い込まれる。三菱重工West・森翔平投手は、球速より球質で勝負する本格派左腕だ。

 「僕の強みはストレートと思っています。その(打者が直球狙いでくる)中でしっかり変化球を交ぜながら、空振りを取れるようになりたいです」

 最大の武器は最速149キロを誇る直球だ。その投球回転数は平均2200回転。すでにNPBの平均値2200~2300回転と肩を並べる。それでも満足はできない。オフからさらなる進化を見据え、投球回転数の向上に着手。目下の目標は「2300~2400回転」に定め、磨きをかける。変化球も縦に大きく割れるカーブ、カットボール、フォークなど多彩。直球を軸に配球を組み立て、打者を手玉に取る。

 目指すは直球主体の本格派左腕。その理想像に挙げるのはDeNA・今永昇太だ。「今永投手はやっぱりストレートで空振りが取れる部分とフォーム(を参考にしています)。打者が真っすぐで差し込まれるので、それはすごい目標としています」。同じ左腕で、体格もほぼ同じサイズ。しなやかなフォームから切れ味鋭い直球でプロの強打者を圧倒する投球スタイルに、惚れ込んだ。動画などをチェックし、研究に余念はない。ちなみに周囲からは元阪神で、現オリックス・能見篤史に似ていると言われるという。

 理想に近づくべく掲げるテーマは「脱力」だ。「フォームよりも打者に速く見えるように、打者に対してそういう球を目指して、やっています。全力で投げるというよりは6~7割で、それでも強い球というのを意識してやっています。150キロを目指すよりは145キロでも空振りが取れる球を投げたい」。目指しているのは「腕の振り」と「球威」の反比例。その幅が大きいほど、打者は打ちにくいはず。理想は力感のないフォームから、想定外に繰り出される球威十分の直球。全盛期の杉内俊哉(元ソフトバンク、巨人)に近いイメージだろう。

 「プロ」のレベルを身近で感じ取れる環境にもいる。関大では阪急のエースとして活躍したアドバイザリースタッフ・山口高志氏に教えを受けた。そして三菱重工Westでも今年から就任した元巨人、中日の小田幸平ヘッドコーチに打者目線からのアドバイスを求める。

 3月25日には阪神2軍との練習試合で3回1安打無失点の投球を披露。3三振を奪い、阪神・平田勝男2軍監督に「今年のドラフトの目玉になる」と言わしめた。在阪球団スカウトも「昨年までのパフォーマンスを継続できれば、間違いなく上位候補」と評価する逸材。「まずは日本選手権、都市対抗に自チームで出場して、その後にプロの世界に行けたら」。すでにドラフト上位候補の呼び声高い左腕が、解禁イヤーに臨む。(文=惟任 貴信、動画撮影=平嶋 理子、後藤 大輝)

 ◆森 翔平(もり・しょうへい)1998年(平10)1月1日、鳥取県鳥取市出身。小1から野球を始め、青谷中では「鳥取クラウンボーイズ」でプレー。鳥取商では1年夏からベンチ入りも甲子園出場なし。関大では3年春からリーグ戦に登板し、4年時には神宮大会準優勝の原動力となった。三菱重工Westでも入社1年目から主戦。同年の都市対抗でNTT西日本の補強選手として2試合登板。遠投100メートル。1メートル77、80キロ。左投げ左打ち。

 ※三菱重工West・森選手の動画は「スポニチチャンネル」において配信中です。

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2021年4月6日のニュース