中京大中京の畔柳は410球で散る 限界だった右肘に「重たくて力入らなかった」

[ 2021年3月31日 16:42 ]

第93回選抜高校野球大会第10日第2試合 準決勝   中京大中京4-5明豊 ( 2021年3月31日    甲子園 )

<中京大中京・明豊>4回2死、5点リードを許したところでブルペンから2番手としてマウンドに駆け出す中京大中京・畔柳(撮影・坂田 高浩)
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 第93回選抜高校野球大会第10日は31日、兵庫県西宮市の甲子園球場で準決勝が行われた。第2試合では、中京大中京(愛知)は4-5で明豊(大分)に敗れ、24年ぶりの決勝進出はならなかった。

 中京大中京は、5点を5回に1点を返し、4点を追う6回1死二、三塁から加藤優翔が左前2点適時打で2点差。9回には1点差まで詰め寄ったが、及ばなかった。

 すでに限界だった。中京大中京・畔柳亨丞は先発を回避し、0―5の4回2死一塁からリリーフ登板。この回をしのぎ、5、6回と変化球を軸にした投球で5個の三振を奪った。しかし最大の持ち味である直球は最速140キロ。明らかに球威を欠き、6回の打席で代打を送られた。

 「思ったより疲労が抜けていなくて、準備の時から肘が重くて、力が入らなかった状態だった。何とかチームを勝たせたいと、その一心で投げていた。途中降板して、とても申し訳ない気持ちです」

 1回戦から準々決勝まで3試合で379球。「1週間500球以内」の球数制限で行けば、この試合は121球が投球可能だった。しかし過酷な日程に17歳の肘は悲鳴を上げる寸前だった。気持ちで投じた31球。それが限界だった。

 先発の柴田青が5回を投げ、その間にリードを奪う。そして畔柳が試合を締める。勝つための青写真はこうだった。しかし4回、想定よりやや速く、柴田が崩れた。エースは「準備していたが、少し遅れてしまって、最初からグッと行けなかった。もう少ししっかりした準備ができていたら勝てた」と唇を噛んだ。

 右肘は「痛いという感じではなく、急いで準備して、腕に負担がかかって、力が入らない状態」と言う。優勝には届かなかったが、4試合計27回1/3を投げ、自責点はわずかに1。最速149キロと投手としての力は存分に示した。

 「甲子園では自分一人で投げ切るという思いで練習であったり、投げ込みも多くしないとダメだと感じた。全体的なレベルアップもそうですが、もっとタフさを付けて夏に戻ってきたい」
 ひとまずは胸を張ってここを去る。そして一回りも二回りも大きくなってこの夏、聖地に戻ってくる。

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