日本ハム中村勝と元同僚メンドーサGMとの縁 メキシカンL挑戦へ「オファーがあるうちは頑張りたい」

[ 2021年3月22日 09:00 ]

メキシコ・リーグ挑戦へトレーニングを積んでいる中村勝(本人提供)
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 挑戦は終わらない。19年まで日本ハムでプレーし、この冬はオーストラリア・リーグのブリスベン・バンディッツでプレーしていた中村勝投手(29)が、5月に開幕するメキシカン・リーグのグアダラハラ・マリアチッスに移籍することが決まった。「野球以外のことはいつでもできる。オファーがあるうちは野球を頑張りたい」と力強く語った。

 中村は日本ハム時代は技巧派だったが、バンディッツでは最速92マイル(約148キロ)を記録するなど投球スタイルが一変。バンディッツとの契約は2月のシーズン終了とともに満了したが「自分の中でどんどん状態が良くなっているのが分かった。もう少し野球をやってみたいという思いが出てきた」という。そんな状況で、投球映像を確認したマリアチッスのルイス・メンドーサGM(37)から「我々のチームに来てくれないか?」とラブコールが届き、挑戦が決まった。

 中村とメンドーサGMは14~17年途中まで日本ハムでチームメート。当時は大谷(現エンゼルス)や有原(現レンジャーズ)らとともに、同じ先発投手として練習メニューを一緒に消化することが多かった。メンドーサGMはスペイン語圏のメキシコ出身。中村は「すごく仲が良い選手の一人だった。メンディー(メンドーサ)は頭が良い。英語が第2言語だったので日本人の気持ちもすごく分かっているようだった」と振り返る。苦楽をともにした仲間の誘いを断る理由などなかった。

 メンドーサGMも中村に大きな期待をかけている。「ファイターズにいた頃からマサル(中村)の投球スタイルや球種の豊富な配球が好きでした。実際にGMとしてマサルにメキシコに来てもらうためにチームに猛プッシュしました。先発投手として期待しています」と語った。

 中村は現在、約1年間過ごしたオーストラリアから日本に帰国し、4月中旬からメキシコで始まるキャンプに向けてトレーニングに励んでいる。「海外に対する警戒心や恐怖心が少なくなってきた。(現地の言葉を)話せなくても何でもトライする気持ちが大事だと思うようになった」。端整な顔立ちとしなやかな腕の振りから、かつて「ダルビッシュ2世」と呼ばれた男は、中村勝という一人の野球選手として大きな成長を遂げている。

 「NPBにがっつり戻りたい、というよりは、自分のパフォーマンスを上げて、その結果、(NPBから)オファーを頂ければうれしい、という気持ち。メキシカン・リーグでの開幕を良い形で迎えて、しっかり良いシーズンを送れるようにしたい」。昨年12月に29歳を迎えた中村。メキシコでの挑戦に、まずは全てを注ぐ。(記者コラム・柳原 直之)

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2021年3月22日のニュース