奈良大付・北島 天国の父に捧ぐ公式戦1号「見てくれていることを祈って」

[ 2020年7月30日 11:36 ]

令和2年度奈良県高等学校夏季野球大会 準々決勝   奈良大付11―0添上 ( 2020年7月30日    佐藤薬品スタジアム )

<奈良大会 添上・奈良大付> 5回2死一塁、左越え本塁打を放ち、ガッツポーズする奈良大付・北島 (撮影・平嶋 理子)                                                                   
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 ずっとそばで、見守っていてくれると信じていた。見えない力を与えてくれた。奈良大付の「9番・二塁」北島広夢(3年)が9―0の5回表2死一塁で、コールド圏内へ持ち込む公式戦1号2ランを左中間へたたき込んだ。

 「コロナの自粛期間が明けた辺りから打撃の調子が良くなかったので、いい結果が出て良かったです」

 6月8日の練習再開後、練習試合でも0割台と絶不調。3回戦の五條戦ではスタメン落ちしたが、ナインから「何も考えるな」と言われて楽になった。「気持ち良くスイングした結果がホームランになりました」と笑顔をはじけさせた。

 つらすぎる別れがあった。今年1月31日、三重県に単身赴任していた父・洋史さん(54)が急性骨髄性白血病のため倒れ、翌日には帰らぬ人に。野球を始めた小学校のときから試合のたびに足を運び、背中を押してくれた最愛の父のため、何としても結果を残したかった。大会前、帽子のつばに刻んだのは「両親に感謝」の文字。「見てくれていることを祈って『ナイスバッティング』と言ってほしいです」。悲しみを乗り越えた最後の夏のメモリアルアーチ。スタンドに来ていたはずの洋史さんも、愛息の頼もしい姿に大喜びしているに違いない。

 次戦はこの後行われる智弁学園と桜井の勝者と準決勝を戦う。北島は余韻に浸ることなく「この後学校に帰ってビデオを見ます」と頂点を見据えた。

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2020年7月30日のニュース