阪神・近本 土壇場同点打 2試合連続先発落ち 梅野のヘッスラに応え、大山を救った 

[ 2020年7月23日 05:30 ]

セ・リーグ   阪神3-3広島 ( 2020年7月22日    甲子園 )

<神・広(4)>  9回、2死二塁、近本が右前に同点適時打を放ち、ガッツポーズ  (撮影・成瀬 徹)  
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 大山を、スアレスを、チーム全員を救う一振りだった。痛恨の形で逆転され迎えた9回裏。2死二塁の土壇場で打席に立ったのが途中出場の近本だった。打率1割台に苦しみ、2戦連続先発落ちした昨季の黄金ルーキーが菊池保の3球目のフォークを強振。右翼右へと運ぶ同点適時打で、チームの黒星を消し去った。

 「どんな状況であっても、自分のやるべきことは変わらないですし、あの場面ではランナーを還すことが一番だったんで、しっかり還すことができて良かったです」

 2―1の勝利目前だった9回表の1死二塁で大山が何でもない三ゴロを一塁悪送球。カメラマン席までボールが達し、二塁走者・鈴木誠の生還が認められた。動揺が残る守護神・スアレスは会沢に勝ち越しの左前打を献上。主将の糸原が骨折離脱した中、そのまま負けていれば尾を引きかねない最悪の展開を、近本が食い止めた。

 近本だけではない。この回先頭の梅野は三遊間深くへのゴロで全力疾走し、一塁にヘッドスライディング。気迫を前面に出し、遊撃内野安打をもぎ取った。矢野監督はすかさず代走のスペシャリスト・植田を投入。長距離砲タイプの陽川がきっちりと投前犠打を決め、チャンスメークした。ここで左飛に倒れた木浪の悔しさも「キナチカコンビ」の相棒が晴らしてみせた。

 サヨナラ勝ちこそならなかったが、10回もDJジョンソンを攻め立て2死一、二塁まで追い詰めた。ミスで意気消沈せず、全員が最後まで諦めない姿勢を見せた今季初ドローを、矢野監督は第一声で「悔しい」と振り返りながらも、大きな手応えを口にした。

 「全員で引き分けに持ち込めたというのは僕らが目指すところですし、こういう気持ちでいれば、どんな試合でもいけるんだっていうのも改めて感じる。また、同点のタイムリーを苦しんでいるチカ(近本)が打ったというのもチームとしては意味がある」

 継続中の連勝は5で小休止でも、勢いは消さなかった。糸原の離脱は痛いが、誰かのミスや不在を他の誰かがカバーできる力が今の猛虎にはある。(山添 晴治)

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