広島・菊池涼 鯉党に届けた復調弾 ピレラも上昇気配、サヨナラ負けにも光明

[ 2020年7月11日 05:30 ]

セ・リーグ   広島2-3中日 ( 2020年7月10日    ナゴヤドーム )

<中・広(4)>6回2死、菊池は勝ち越しとなる左越えソロホームランを放つ(撮影・椎名 航)
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 痛恨だ。広島は10日の中日戦(ナゴヤドーム)で逃げ切れず、今季3度目のサヨナラ負けを喫した。1―1の6回に菊池涼介内野手(30)の左越え2号ソロで勝ち越したものの、9回に菊池保が追い付かれ、延長10回にフランスアがビシエドにサヨナラ弾を浴びた。ルーキー・森下が抹消され、投打の歯車がかみ合わない苦境。耐え忍び、乗り越えたい。

 意地の一発は無情にも空砲に終わった。殊勲打になるはずが、不安定な救援陣がリードを守り切れず、まさかの延長10回サヨナラ負け。広島から移動日なしでの転戦。痛恨の結末にナインは疲れを隠せず、菊池涼の表情もさえなかった。

 「いい追加点になってよかったです。いつも(チームに)迷惑をかけているので…」

 同点の6回2死走者なしで打席が回った。カウント1―1から大野雄が投じた3球目、難しい内角低めのスライダーを捉えると、打球は赤いユニホーム姿のファンが待つ左翼席に着弾した。6月24日の巨人戦以来となる2号勝ち越し弾だった。

 広報に託した短いコメントに菊池涼の心情がにじみ出る。4日の阪神戦をコンディション不良で欠場。その影響なのか、開幕から打率1割台の低空飛行が続いており、苦しいチーム状況も相まって、シャイな30歳は人知れず責任を感じていた。

 状態のよくない西川と、左対左になる田中広を外し、思い切って右打者を並べた打線。「1、2番でつないで3番以降で還す。1点を取る形ができていないので、厳しい展開になっている」。打開策が空転し、佐々岡監督の表情は険しい。

 それでも光は見える。3回2死二塁の先制機では、ピレラが右翼フェンス直撃の適時打。「甘く来たところを、しっかり捉えることができた」。4日の阪神戦から8日のDeNA戦まで3試合無安打だったが、状態は再び上向きつつある。

 「一発を打つ打者ではないけど、これで変わってくれればね」

 佐々岡監督は、菊池涼の変わり身にも期待する。黒子役に徹しながら、決めたい場面ではキバをむく。それもまた、パンチ力のある守備名人の魅力だ。まだ序盤。下を向いてはいられない。赤い戦士の反抗力を信じたい。 (江尾 卓也)

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