今季は延長10回打ち切り制のプロ野球 「強打の1、2番」がトレンドに?

[ 2020年6月17日 07:00 ]

巨人の坂本(右)と吉川尚
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 2020年のプロ野球は1、2番に強打者を置くことがトレンドとなりそうだ。延長10回打ち切り制が導入される今季、強打者が1打席でも多く打席に立つことができる利点に加え、初回から試合の主導権を握りたいとの意図も感じられる。犠打が減り、より攻撃的な野球が展開されることが予想される。19日の開幕を前にスポニチ本紙記者が、担当球団の1、2番構想に迫った。

 ≪巨人 「初回2点」構想≫原監督は復帰した昨年から「初回に2点を取りにいく」という「強打の2番」構想を抱いて、坂本を据えた。昨季は総得点の663点中、イニング別では最多の96点を初回に記録。坂本はキャリアハイの40本塁打した。1番は俊足巧打の吉川尚が有力。昨季は腰痛のため4月に離脱も、体調が万全なら首位打者も狙える潜在能力がある。(神田 佑)

 ≪DeNA 好調男→2冠男≫打撃好調の梶谷がリードオフマンを務める。練習試合12試合で打率・324、6四球。実に8試合で初回に出塁した。2番には昨季本塁打と打点の2冠に輝いたソトが控え、2人で得点を奪い、一気に試合の流れを引き寄せることも可能。オープン戦本塁打王オースティンや新4番の佐野、好打者宮崎らが続く打線は破壊力抜群だ。(町田 利衣)

 ≪阪神 経験則の2番俊足≫2番には昨季は1番で盗塁王を獲得した近本を起用する。矢野監督が理想に掲げる肝いりプランを実行。「(現役時代に捕手として相手が足の速い左打者の2番は)嫌だった」。1番には長打力も兼ね備える糸井。4番にはメジャー通算92発のボーア、5番には球界最年長ながら勝負強さは健在な福留を据えて得点力アップを狙う。(山本 浩之)

 ≪広島 攻撃的1番が起爆剤に≫1番に攻撃的なピレラを抜てき。練習試合を7戦連続安打で締めた新助っ人に、佐々岡監督は「足があり、長打がある。三振も簡単にはしないから相手は嫌だと思う」と期待する。カギを握るのは不動の2番・菊池涼だ。西川―鈴木誠の3、4番は安定しており、つなぎ役として機能すれば、3連覇時のような得点力が見込める。(江尾 卓也)

 ≪中日 得点力アップへ改造≫1番は出塁率が高く、機動力も使える大島を固定する方針。2番には昨季1試合しか経験のない平田の起用が濃厚。与田監督は昨年の得点力不足を反省し「少ないチャンスをいかにものにするか。一気に点を取るため」とキャンプから高橋やアルモンテも試してきた。シーズン中も攻撃的オーダーを組む可能性は大いにあり得る。(徳原 麗奈)

 ≪ヤクルト 送らず攻撃特化≫高津監督は「僕は送らないから」と犠打をしない方針で、2番に山田哲を据える超攻撃的オーダーを組む。ミスタートリプルスリーは昨季、リーグ最多110四球と選球眼も良く、チャンス拡大にも適任。18年に・406をマークするなど高い出塁率を誇る坂口を塁に置き、続く山田哲、青木、村上で初回から相手に重圧をかける。(黒野 有仁)

 ≪西武 新助っ人が核弾頭≫1番・スパンジェンバーグ、2番・源田が濃厚。新助っ人の1番起用を辻監督は「チームに勢いが出る打撃ができる」と説明する。練習試合は34打数17安打で4本塁打と長打力も発揮した。源田は俊足巧打で出塁率も高い。2人の後には3番・森、4番・山川とおり、初回から相手投手に大きなプレッシャーを与えることができる。(大木 穂高)

 ≪ソフトバンク 相手先発で流動的≫オーダーは相手先発によって流動的となりそうだ。1番には上林、牧原に加え、左投手には川島の起用も。2番はコンディションが万全なら今宮だが、12日の練習試合、広島戦では2番・柳田をテスト。工藤監督は「僕の中で一つの方法。(シーズン中も)なくはないと思う」と話すなど超攻撃的布陣を敷く可能性も十分ある。(川島 毅洋)

 ≪楽天 器用な新コンビ誕生≫変幻自在のコンビの誕生だ。打力と走力を兼ね備える茂木は理想的なリードオフマン。三木監督が「大地は状況に応じて何でもできる」と話すように、2番に鈴木大を置けば攻撃の幅が広がる。犠打や進塁打でつなぐだけでなく、大量点を狙った攻撃的な作戦にも対応可能。ともに長打力があるだけに、相手にとっては脅威になる。(重光 晋太郎)

 ≪ロッテ 荻野加えて臨機応変≫リードオフマン候補として福田秀と荻野が挙がる。この2人を軸に、臨機応変に1、2、3番を組み替えていく。福田秀は中軸を担えるパンチ力を誇るが、積極的なスタイルを考慮し、開幕1番でスタートしそうだ。首位打者に2度輝いている角中を2番に挟んで、3番に荻野を置くことで機動力を絡めた重厚な攻撃を目指す。(横市 勇)

 ≪日本ハム 名コンビ今季も≫18年から西川、大田が主に1、2番に定着し、今季も継続。大田は制約の多い2番について「自分らしさは忘れないようにしている」と基本的には持ち前の豪快なスイングを貫くが、状況次第でチーム打撃もできる柔軟さが魅力だ。近藤、中田の中軸が好調なだけに、昨季5位だったチーム得点数アップへ1、2番が鍵を握る。(東尾 洋樹)

 ≪オリックス 破壊力ピカイチ≫10年本塁打王のT―岡田を1番に据え、2番はマイナー通算174発の新助っ人ロドリゲスを置く。T―岡田は17年に83四球も記録しており、西村監督は「手応えはあります。1番が大事な打順になる」。3番・吉田正、4番・ジョーンズとつながれば、リーグ屈指の破壊力だ。昨季リーグワースト544得点からの大幅増を狙う。(湯澤 涼)

 ≪過去の名コンビ 福本&簑田が唯一の両者20発超え≫過去の先発1、2番での本塁打数上位を見ると、1番では02年松井稼頭央(西)が36本、85年真弓明信(神)が34本、前記松井の03年と10年坂本勇人(巨)が各31本と30本以上が3人。2番では06年リグス(ヤ)が37本、前記坂本が昨年34本、80年簑田浩二(阪急)が30本と、こちらも30本超が3人いる。
 120試合制の今季に30本到達は困難では?という見方もあるが、真弓は先発1番が116試合、簑田は先発2番が120試合で達成しており、打順固定なら十分にあり得る。なお、過去には先発1番と2番打者の合計本塁打数が、ともに20本を超えたチームも延べ6球団ある(別表)。うち、80年の阪急は、簑田が前記の通り先発2番で30本塁打を放ったのに加え、福本豊も先発1番で21本塁打を記録。先発1、2番で20本塁打以上の打者がそろった史上唯一のケースとなっている。

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