防護服の作業員が続々と…忘れることはない異様な光景 未曽有の事態直面を貴重な機会と捉え…

[ 2020年3月30日 11:39 ]

藤浪のPCR検査実施を受けて、鳴尾浜球場の施設で消毒作業が行われた(撮影・大森 寛明)
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 あの異様な光景を忘れることはない。3月26日の午後0時、阪神は藤浪がPCR検査を受けることを発表(同日深夜に長坂、伊藤隼とともに陽性反応が判明)。新型コロナウイルスの災禍がついにプロ野球選手に及んだ瞬間だった。

 その日は普段通り阪神2軍の取材で鳴尾浜球場に向かっていた。ソフトバンクとの練習試合でドラフト1位・西純が登板予定。右肘違和感で長いリハビリ生活を送っている才木が昨年5月19日のウエスタン・リーグ広島戦以来の実戦登板を果たす日でもあった。ソフトバンクは1軍から上林、リチャード、ドラフト1位の佐藤らが合流予定で、見どころの多い試合になる。そんなことを思いながら球場に足を踏み入れていた。

 練習が始まってすぐ異変があった。1軍から実戦調整として先発予定だった飯田の姿がなかったのだ。高橋建2軍投手コーチに確認したら、「俺の口からは答えられない」。いつもは柔和な投手コーチの、やや沈んだ表情とともに返ってきた返答でただ事ではないことに気づかされた。ケガだろうか、それとも――。程なくして球団広報が記者陣を集めた。「今日の練習試合は中止です」。耳を疑ったのは言うまでもない。

 宮脇則昭ファームディレクターが平田2軍監督を始めとした2軍首脳陣に試合中止を伝え、選手らはそれぞれ寮に引き上げ始めた。選手、首脳陣への取材は禁止されたため、引き上げる様子をただ遠くから見ることしかできなかった。そんな中、2年目右腕・湯浅は記者に向けて振りかぶるポーズをしながら、無念さをにじませる表情で虎風荘に消えていった。腰のケガから約9カ月ぶりにフリー打撃に登板する予定だった20歳の胸中を思うと、やり切れない思いが頭の中を巡った。

 いつもは阪神の練習中に到着するソフトバンクの選手、首脳陣らを乗せたバスは、阪神の選手らが全員寮に引き上げてから鳴尾浜球場に到着。練習が行われている間に阪神の選手、首脳陣はそれぞれ帰途に就き、寮住まいの選手は虎風荘消毒のため、それぞれタクシーでホテルに移動していった。ソフトバンク一行が練習を終えて引き上げた後、施設を消毒する業者が鳴尾浜球場に到着したのは午後3時すぎ。消毒用の器具を手に防護服を着た人々が、報道陣が普段使用しているプレスルームへ入っていく様子は、今まで映画の中でしか見たことのないような、ショッキングな光景だった。

 現時点で「4・24」開幕を目指す方針に変更はないと聞く。選手にウイルス感染者が出てしまったことや、各競技が延期や中止の決断を下している中で本当に4月下旬に開幕できるのだろうか。未曽有の事態に直面している現状を、貴重な機会だとあくまでプラスに捉えながらプロ野球、そして担当する阪神球団を追いかけていきたいと思う。(記者コラム・阪井 日向)

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