【スポニチ潜入(7)】トヨタ自動車・栗林 カーブが武器の153キロ右腕 守備力兼備した即戦力候補

[ 2020年3月30日 10:00 ]

トヨタ自動車の栗林良吏投手
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 スポーツニッポン新聞社がお送りする記事と動画を連動する新企画「スポニチ潜入」。主に関西圏のアマチュア野球選手を紹介する本日公開の第7回は今年の社会人球界No.1右腕としてNPB12球団が1位候補に挙げる、トヨタ自動車・栗林良吏投手です。

 ドラフト候補を評価する上では、さまざまな指標がある。その中で「即戦力」のくくりなら、トヨタ自動車・栗林が今年の最上位候補だろう。

 愛知黎明高では全国的に無名の存在で、メインは遊撃手だった。それが名城大進学後、本格的に投手に転向すると、愛知大学野球リーグ通算32勝。一躍、ドラフト候補へと躍り出た。大学4年時は結果的に指名漏れとなったが、当時から12球団から注目を集める逸材だった。その評価をさらに高めたのは、社会人1年目だ。

 新人ながら、名門チームで主戦級の働きを見せた。昨夏の都市対抗では2回戦・三菱自動車岡崎戦に先発して7回途中7奪三振と試合を作ると、決勝・JFE東日本戦の先発に抜てきされた。その試合は3回2失点で降板となったが、一発勝負の怖さを学び取った。そして昨秋の日本選手権。初戦・マツゲン箕島硬式野球部戦での13奪三振完封に続き、中2日で先発した2回戦・三菱日立パワーシステムズ戦でも6回無失点とアマチュア最高レベルの打者が揃う社会人の打線を圧倒した。

 さらにJABA選抜の一員として出場した昨冬のアジア・ウィンターリーグ(台湾)では抑えとして6試合14回1/3を投げ、1勝0敗4セーブ、防御率0・63。25奪三振、奪三振率15・00で優勝の原動力となり、社会人No.1右腕の称号をほしいままにした。同リーグではNPBが編成した2チームとの試合にも計3試合登板し、プロ相手に実力を誇示した。

 直球の最速は153キロ。さらなる球速アップに色気を見せてもいいはずだが、今は球速よりも球質を追い求める。トヨタ自動車の室内練習場ブルペンには投球回転数や投球回転軸をチェックできる機器が常設されており、そこで計測する直球の平均回転数は2400~2500回転。約2200回転とされるNPB平均値を上回り、実力者揃いのチーム内でも上位3人に入る数値を誇る。数値に裏打ちされた、打者の手元で伸び上がる直球だ。

 変化球にも磨きを掛けてきた。大学時代まで軸球としていたスライダーを、捕手の勧めもあって社会人では封印した。そして、代わりにカーブを磨いた。そのカーブが、今ではカウント球、決め球に使える軸球に成長。そこに直球、切れ味鋭いカットボール、フォークを織り交ぜ、相手打線に三振の山を築かせる。
 投球だけではない。元遊撃手とあって、マウンド周りの動きも軽快。意外と見落とされがちな守備力も兼ね備えており、すぐに試合で使える投手だ。だから昨秋の日本選手権を視察した阪神・畑山俊二アマスカウト統括も「150キロを投げる力があるし、スタミナもある。即戦力として評価できる。順調にいけば上位候補でしょう。面白い素材。しっかり見て行くことになる」と高く評価していた。

 「一番は働く、お金を稼ぐ大変さというのを学べたことは、社会人に来てよかったと思います。大学の頃は、“すごく(プロに)行きたい”という気持ちは強くなかったのですが、社会人に入ってからは、プロに行きたいという気持ちが強くなってきているので、これをモチベーションにして今年1年、やりたいと思っています」と栗林。満を持して勝負の1年に臨む。(大阪報道部・惟任 貴信)

 ◆栗林 良吏(くりばやし・りょうじ)1996(平8)年7月9日、愛知県愛西市出身。愛知黎明高では遊撃手兼投手。名城大で本格的に投手転向。遠投100メートル。1メートル78、80キロ。右投げ右打ち。

 ※本記事の動画は「スポニチチャンネル」(https://www.youtube.com/channel/UCCDmd01WsuFBF8n3yMjHQ1A)において本日正午頃、公開予定。次回は4月6日公開予定です。(記事、動画の内容は新型コロナウイルス感染拡大を受けた政府の臨時休校要請が出る以前に取材したものです)

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