阪神・近本 赤星氏に唯一のこだわり語った「100得点」スピードスター対談、今年も実現

[ 2020年2月7日 05:45 ]

盗塁のスタートダッシュのポーズを決める赤星氏(左)と近本 (撮影・平嶋 理子)
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 スピードスター対談が今年も実現!! 阪神の近本光司外野手(25)が、スポニチ本紙評論家の赤星憲広氏に「100得点」を宣言。2年連続盗塁王へ、打率や出塁率の向上をテーマに掲げており、盗塁術や打撃論で熱く盛り上がった。

 赤星 2年目のキャンプが始まった。

 近本 昨年と比べれば流れや要領、周りに見られているのも分かってきて疲れは感じなくなりました。去年は、いっぱい見られている部分で結構疲れていました。

 赤星 反省点を持って2年目に臨んでいる。

 近本 一番心がけているのは、しっかり考えてやること。去年は結果を残さないとスタメンで使ってもらえない。だから最初から結果を残してと思っていました。今年は自分のやるべき事だったり、やりたい事を考えてやっています。

 赤星 自信はあるでしょ?

 近本 自信はないのですが、自分のやることをやればできるのかな、とは思っています。大学も高校も2年生から出ていて、ベストナインなど獲った次のリーグ戦は落ちていました。相手が考えてくるだろうと思って、自分も考えてしまっていた。なので社会人では2年目に考えるのではなくて、自分のやることや、やりたいこと、『しっかり打ちにいく』であるとか、『何も考えずに来た球を打つ』とか…をやり出したら良かった。今年も相手を考えるのではなく、自分のことをとらえることが大事だと思います。

 赤星 まあ、心配はしてないよ。

 近本 でも怖いですよね。保証がないですもんね。

 赤星 さて、チームとしての目標は日本一だけど個人的な目標は?

 近本 ぼくは数字の目標はないんですが、唯一あるのが「100得点」なんですよ。

 赤星 俺と同じだ。

 近本 赤星さんも5年目に達成していますよね。昨年も(巨人の)坂本さんとかリーグで2、3人が超えていたんですが、上位チームに多い印象。1番、2番打者なら「100」を超えないと上位にはいけないのかな。だから、そこはこだわりたい。自分は81得点なので、得点につながる盗塁、走塁に持っていきたい。

 赤星 100得点なら後ろの打者とも連結する。ぼくは盗塁しても生還しないと意味がない、自分の仕事を果たせていないと感じていた。一緒の考えでうれしいな。

 近本 昨年のデータで、僕が盗塁して得点につながる数字と、盗塁しなくて(一塁)ランナーにいたケースとでは、盗塁したときの方が実は低かったんです。平均値の話ですが、一塁ランナーの時の方が得点につながっていて。そうなると二塁にいっても三盗が多くないと、警戒がないから投手が打者に集中して投げられるとなるのかなと。でも、(ヤクルトの)山田哲さんは僕の逆で、盗塁した方がホームに還っている。だから、後ろの打者とどう連係するのかが大事。三盗というプレッシャーも掛けながらいくのが大事かなと考えました。

 赤星 100得点できれば、後ろの打者の打点も増えて、チームの得点も増える。あまり数字のことは言わないから本音を聞けたのはうれしい。

 近本 唯一言える目標です。できるだけ早く、若いカウントで走りたいですね。

 赤星 今年も盗塁王の期待がかかるが、塁間の歩数を12歩から14歩に変えると聞いた。

 近本 12歩だと、最後の踏み切り足の12歩目が、どうしてもベースとの距離が遠く、スライディングが遠くなってしまう。だから、ストライドを広くしたら距離が縮まると思っていたんですが、それだとハムストリングやふくらはぎの負担が大きかったので、やっぱりリード幅なのかな…と。スプリント・コーチの秋本さん(陸上男子200メートル障害の元アジア最高記録保持者)に話を聞いていたら、僕の体で12歩というのは広すぎるみたいで、足に負担が来て疲れで打撃にも影響してくる。だったら、しっかり足の下に設置して、反発をもらうことでスピードに替える。そのイメージで14歩を今取り組んでいるのですが、タイムがあまり良くないんですよ。

 赤星 どこかで歩数を気にしている?

 近本 足の設置位置を気にしているので、どうしてもピッチの速さにつながっていない。まだキャンプなので、前半ぐらいまでには、どっちかにしたい。

 赤星 試行錯誤して、考えなければいけないと思ったら12歩に戻す。

 近本 はい、戻すかもしれないです。どれだけ足の負担が少なくても、アウトになったらダメ。スピードが落ちてしまうとダメなので、だったら速い方が良い。去年やって足のケガもなかったので、12歩でも良いのかなと思います。

 赤星 人工芝と土の球場で違いも感じた?

 近本 感じました。甲子園がホームグラウンドでよかったと思いますね。

 赤星 へ~。どの点が。

 赤星 甲子園でやっているときは気にならなかったんですが、人工芝は結構速く走れる。3連戦で塁に出て、走って、走って、となったときに、次のカードとかすごく負担が来ていて、股関節、お尻周りがめちゃくちゃ硬くなって、そこから調子が落ちてしまった。

 赤星 スパイクを工夫したりは?

 近本 歯の長さを、赤星さんは球場によって変えていらっしゃいましたよね。

 赤星 僕は変えていたね。

 近本 自分はそこまでできないので、ポイントと歯のミックスされたものがあるので最近それを使っています。本当に軽くて負担も少ないので、それでやってみようかなと。やはり土になると歯の方がいいな、と思います。

 赤星 体の張りも、社会人時代には経験したことのないもの。

 近本 全然違いましたね。毎日試合があるのは経験したことがなかった。あっても中1日とか、多くても5試合。そんなのプロでは1週間で終わるじゃないですか(笑)。ビックリしましたね。体も頭もビックリしました。これだけ試合があると、緊張もなくなるし、試合に慣れてしまっていた。切り替えが必要だなと。

 赤星 毎日試合をやっていたら、なかなか切り替えがね。良くも悪くも試合慣れが出てくる。

 近本 リフレッシュ方法とか、切り替えが去年はできていなかった。それも試行錯誤しようと思っています。

 赤星 その中で2年連続盗塁王は通過点。獲るためのポイントは。
 近本 僕と赤星さんが違うのは出塁率。打率もそうですね。赤星さんは1年目から打率・292ですよね。走れる機会が多くなれば、盗塁数も増えると思う。僕は本当に出塁率が低いので。

 赤星 去年の数字(・313)を見ると、確かに少し低いかな。
 近本 どうしても打ちたい、打ちたいになってしまうので。だから、“打ちたい!”んですよ、ぼく(笑)

 赤星 わかる、わかる(笑)

 近本 打ちたいのでどんどん積極的に行ってしまい、悪いときも打たないと分からないと思って、打っちゃう。(日本ハムの)近藤健介さんに、悪いときにどうして打率が落ちないのか聞いたことがあるのですが、『ボール球は振らない』と言っていた。そういうことを少しずつ勉強したいです。

 赤星 打撃の取り組みは。

 近本 まず、バットを変えました。大きくは変えていませんが、タイカッブ型にして、今は良い感覚で打てています。長打よりは、野手の間を抜く強い打球を打ちたいので。

 赤星 仕上がり具合は。

 近本 少しずつできるようにはなりましたが、低めはとらえる打球も増えてきたのに、高めになると…。

 赤星 高めは好きだよね。

 近本 好きなので振ってしまうので、どうしようかなと。いろんなティー打撃をして良くはなってきているので継続的にやろうと思っています。

 赤星 近藤くんの話も出たが、近本選手は打ちたい選手だからボール球を振らない事は結構難しい。近藤くんは見ながらいけるタイプ。タイプが違うからその辺をね。

 近本 あっ…、そうですよね。

 赤星 今は色々な話を聞いて、調子が良くないときはボール球を振らないとやればいいが、どっちかとなると難しい。

 近本 そうですね。去年センターから見ていて、四球を取れる打者は、僕の中では(広島)鈴木誠也と(巨人の)坂本さんとか、丸さんとか…。それぐらいが僕の中では一番理想だなと思っていました。その理由は、みんな打っているからなんですよ。強打者だからボールからとか、若い投手だと甘いところにいくと打たれるとなって、少し厳しいところとなって、ボール、ボールとなる。でも甘いところとなるとしっかり打つので、四球が多い理由かな、と思います。

 赤星 これはあくまで個人的な意見だけど、わざとボールを選んでいこうとするスタイルにはしてほしくない。長所を消すのは良くないかな。際どいボールをうまくファウルに行くとか。見逃す技術よりもファウルを打つ技術を磨いてほしい。

 近本 選球眼、出塁率、四球となれば、どうしても周りは『ボールを見る』というイメージ。でも、僕の中では甘いボール、打てるボールを仕留めるのが選球眼というイメージなんです。打てないのはファウル。でも去年はできる打席と、できない打席がありました。

 赤星 ぼくは正直、近本選手とはタイプが違うので、四球を狙って取りにいったりはしていたけど。近本選手は打ちにいきながらファウルで逃げる、止まれる打者を目指してほしい。それが理想型かな、と僕は思っていた。

 近本 一番良い形ですよね。打ちに行って、際どいボール球は止まれる。だから、止まれる角度も結構、教えて頂いていて。僕の中ではしっかり伸びて、手首がしっかり立っている時に止まれるのですが、追い込まれると段々小さくなってくるので、当てて、となってくると止まらなくなる。だから去年学んだ事をいかしながら、2ストライクの打ち方というより、しっかり止まってファウルにできる打ち方をつかんでいきたいです。

 赤星 その方がいいよね。あとは詰まるのを嫌がらないでほしいな。あまり詰まりたくないでしょ?

 近本 詰まりたくないです。

 赤星 どちらかというと芯から外れるのも嫌がるタイプかな?

 近本 芯(で打つの)が全てだと思っています。

 赤星 だから1つアドバイスを言えるのは、詰まるのを怖がらないでほしい。でないと、打つポイントが少なくなってしまう。僕の持論では、好打者の典型は縦(前後の奥行き)のゾーンが長い人。だから詰まってもヒットにできる、泳いでもヒットにできる選手が好打者だと思う。こういう話は終わらないよね(笑)

 近本 はい、もっと話したいです(笑)

 赤星 でも、本当に楽しみ。何年も続けるために2年連続が大事。ケガなく頑張って。

 近本 ありがとうございます。向上心を持って頑張りたいと思います。

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