【市川いずみの届け夏エール】智弁学園主将・坂下翔馬君 監督との“心のLINE”宝物

[ 2019年8月13日 05:30 ]

第101回全国高校野球選手権大会 第7日2回戦   智弁学園8-10八戸学院光星 ( 2019年8月12日    甲子園 )

<智弁学園・八戸学院光星>あいさつをする坂下主将(左)と小坂監督(撮影・亀井 直樹)
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 「幸せでした」。智弁学園・坂下翔馬君は小坂将商監督と過ごした日々を、嗚咽(おえつ)を漏らしながら振り返りました。

 昨秋の奈良大会での敗戦後「こんなキャプテンやから勝てへんねん」。指揮官から愛ある厳しい言葉で突き放されました。求められている主将になれていない自分に悔し涙があふれた坂下君。そっと寄り添ってくれたのも小坂監督でした。「お前が引っ張っていけよ」。そこから二人三脚が始まりました。

 この1年、坂下君を取材するたびに口にしたのは「監督を甲子園に連れていく」。先月23日の指揮官の誕生日には、そう記したケーキと赤いノックバットをプレゼントしています。奈良大会では小坂監督らが持つ本塁打記録を塗り替える活躍で約束を果たし、一緒に涙を流して喜びました。

 翌日坂下君のもとに一通のLINEが届きました。「まだまだ夏を熱く長くしたいから頑張ろうな!ありがとう!」。聖地に映える智弁カラーのバットで行われた試合前ノック。これが坂下君がうける監督の最後のノックとなりました。

 「諦めない“小坂野球”ができました」と最大6点差を逆転する熱戦をみせましたが、あと一歩及びませんでした。9回2死、最後は大好きな監督の隣を選んだ坂下君。3アウト目がコールされ泣き崩れた主将を指揮官が優しく支えてくれました。たくさん怒られ、泣き、たっぷりの愛情をもらった2年4カ月。「かけがえのない一生の宝物です」。泥だらけの顔に涙を伝わせながら感謝の気持ちがあふれました。

 最後に小坂監督はこう話しました。「素晴らしいキャプテンになってくれました」。坂下君と小坂監督の二人三脚は共に目指した聖地でゴールを迎えました。

 ◆市川 いずみ 京都府出身のフリーアナウンサー。山口朝日放送時代に高校野球の実況で「ANNアナウンサー賞最優秀新人賞」を受賞。高校野球検定に合格し、自宅に甲子園の土を飾るほど生粋の高校野球好き。

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