DeNA楠本プロ1号が代打逆転満塁弾 花咲徳栄OB“屈辱”校歌斉唱にメラッ?

[ 2019年6月10日 06:30 ]

交流戦   DeNA6―4西武 ( 2019年6月9日    横浜 )

柳沢慎吾(左)と「あばよ!」ポーズの楠本(撮影・島崎忠彦)
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 状況を理解できない。全力疾走していたDeNA・楠本は二塁手前できょろきょろと視線を泳がせた。プロ1号が代打逆転満塁弾。逆方向の左翼席に入ったことに気づくと、両手を2度叩き、雄叫びを上げた。

 「まさか入るとは思わなかった。めちゃくちゃうれしい。野球をやってきてよかったなと、本当に思った」

 2点を追う8回2死満塁で打席に送り出され、ヒースの151キロ直球を打ち返し「ホームランを打ったことがないので、何とか外野の頭を越えてくれと思って走っていた」。フェンスも越えた一発は、44年ぶりに飛び出したプロ野球史上2人目の「初本塁打が代打逆転満塁弾」だった。

 17年に東北福祉大からドラフト8位で入団。支配下選手全82人中、81番目の指名だった。2年目の今季は打率・388でオープン戦首位打者。初の開幕1軍&開幕先発も打率2割台前半で、5月3日に2軍落ちした。それでも今月4日に再昇格し起死回生の一発。ラミレス監督も「誰も想像していなかった」と驚き、笑顔で称えた。

 「屈辱」も力に変えた。試合前にタレントの柳沢慎吾が恒例の高校野球ネタを披露。西武戦にちなみ「横浜―花咲徳栄」の神奈川・埼玉対決の設定で、楠本は一緒に横浜の校歌を歌わされた。花咲徳栄OBは「有名な学校の校歌なのでメロディーくらいは何となく分かる」と苦笑いも内心は複雑。お立ち台では感動した柳沢から「こみ上げてくるものがあった」と言われ、一緒に「あばよ」。ファンから大喝采を浴びた。

 野球人生で代打本塁打も満塁弾も「打ったことがなかった」という七夕生まれの23歳。「一生忘れられない日になる」。柳沢さん、いい夢見たよ。(春川 英樹)

 ≪7人目の代打満塁弾が1号≫2年目の楠本(D)が代打で初本塁打となる逆転満塁弾を放った。プロ1号が代打満塁弾だったのは96年10月9日中日戦の塩谷和彦(神)以来7人目。球団では94年8月9日巨人戦の鈴木尚典以来25年ぶりだ。逆転満塁弾に限れば、75年8月9日阪神戦の久保俊巳(広)以来44年ぶり2人目となった。

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2019年6月10日のニュース