楽天・浅村 大物スラッガーが新天地で旋風を巻き起こすか

[ 2019年1月12日 10:00 ]

楽天入団会見でユニホーム姿を披露した浅村
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 【宮入徹の記録の風景】 待望のポイントゲッターが加わった。楽天にFA移籍した浅村栄斗内野手(28)は昨年西武で全143試合に出場。打率・310(リーグ5位)、127打点(同1位)、32本塁打(同3位)と好成績をマーク。チーム10年ぶりのリーグ優勝に大きく貢献した。シーズン127打点は01年カブレラ、15年中村、昨年山川の124打点を上回る球団新記録となった。

 もちろん、こうした結果を生んだのも、浅村の勝負強い打撃に起因するところが大きい。昨年パ・リーグの得点圏打率1位は首位打者を獲得した柳田(ソフトバンク)の389。次いで浅村が・369で2位に入った。特に満塁の場面では10打数6安打、1本塁打、21打点とプレッシャーお構いなしに打ちまくった。通算の満塁時成績は97打数41安打(打率・423)、7本塁打、121打点。塁上が賑わうほど、浅村の集中力は増すようだ。

 過去にシーズン120打点以上を記録したのは34人(50度)。うち、翌年他チームに移籍した選手は4人と少ない。第1号は別当薫。49年に阪神の外野手としてリーグ3位の137打点を挙げ、翌50年に毎日に移籍した。同年105打点を記録し打点王のタイトルを獲得。MVPにも輝き、球団発足1年目でのリーグ制覇の立役者となった。以下、マニエル(80年近鉄、81年ヤクルト)、門田博光(88年南海、89年オリックス)、ラミレス(06年ヤクルト、07年巨人)といたが、マニエルは129打点から36打点へ大幅ダウン。門田は125打点から93打点、ラミレスは122打点から125打点とマニエル以外は移籍先でも結果を残している。

 昨年楽天の最多打点はウィーラーの58打点。浅村の半分にも満たなかった。チーム歴代のシーズン最多打点も07年山崎武司の108打点。浅村はこの数字を13年110打点、昨年127打点と2度上回っており、球団記録を塗り替える可能性は十分ありそうだ。安打数も08年フェルナンデス、リックがそろってマークした163安打が最多。こちらも浅村は4度クリア。高いハードルとはいえないだろう。

 昨年は先発3番で二塁を守る試合が142試合あったが、浅村は好守に柔軟性を持つ。西武在籍時はバッテリーを除く全てのポジションを経験。打順も1番から9番までもれなく先発出場を果たしている。14年終了時で先発2、5番以外の打順で本塁打。15年8月16日ソフトバンク戦で2番、同年9月22日オリックス戦で唯一残った5番で本塁打。史上10人目(球団初)となる全打順本塁打を達成した。

 言い訳めいて恐縮だが、18年度版のパ・リーグの記録集(ブルーブック)には全打順本塁打は11年後藤光尊(オリックス)まで史上9人と記載されている。ところが、浅村が全打順本塁打を記録した日は報道機関が気づかずじまい。浅村の打順別本塁打を改めて見直したところ、既に達成していたことが分かった。

 浅村は通算三塁打が20本、通算盗塁は68と走力もある。楽天は今季球団創設15年目を迎えるが、サイクル安打を記録した選手はいない。同一試合で二塁打、三塁打、本塁打を放ち、達成まであと単打だけに迫ったのも05年9月2日オリックス戦の山崎武司だけ。新たな環境で浅村が球団未到の記録に挑戦する姿を見てみたい。(敬称略)

◆宮入 徹(みやいり・とおる)1958年、東京都生まれ。同志社大卒。スポニチ入社以来、プロ野球記録担当一筋。94年から15年まで記録課長。

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