マー快投から始まった逆転3連勝突破「これまでと違って自分が貢献できた」

[ 2017年10月13日 05:30 ]

ア・リーグ地区シリーズ第5戦   ヤンキース5―2インディアンス ( 2017年10月11日    クリーブランド )

シャンパンファイトに興じるヤンキースの田中(AP)
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 ヤンキースは11日(日本時間12日)、インディアンスとの地区シリーズ第5戦を5―2で制し、2連敗から3連勝で5年ぶりの突破を決めた。田中将大投手(28)が第3戦で7回無失点の快投を演じてから始まった逆襲劇。アストロズと対戦する13日(同14日)からのリーグ優勝決定シリーズ(7回戦制)でも第1、2戦のどちらかに先発する見通しだ。

 最後の一言は、美酒のシャワーにかき消された。

 「自分たちはワイルドカードから上がっている。自分たちよりも勝っているチームしかないので、まあ、もう…」

 シャンパンファイトの中心から離れたエリアで始まった田中のインタビューだったが、同僚たちは容赦ない。3連勝の立役者を逃すはずがなかった。

 「これまでと違って自分が少なくとも貢献できたので、そういう点では一番うれしい」

 3度目の祝勝会。プレーオフ進出決定は、8失点KOの翌日で「複雑です」。ワイルドカードゲームを制した際には「何もしていない」と控えめだったが、今回は違った。

 イ軍はレギュラーシーズン102勝を挙げ、リーグ新の22連勝も記録。下馬評で圧倒的な優勝候補に、敵地で2連敗を喫した。特に第2戦は5点リードしながら逆転負け。「台無しにした」とジョー・ジラルディ監督が自らの采配ミスを認める最悪の状態だった。

 そんな崖っ縁に追い込まれたチームを第3戦で1―0に導く快投でよみがえらせた。ブライアン・キャッシュマンGMは「spectacular(劇的)」と連呼し、「指折りの大舞台で、チームが必要としている場面で好投してくれた」と田中を称えた。

 この日は初回からメジャー初のブルペン待機。「みんなでそろって行っただけ」と田中が肩をつくる場面はなかったが、「(ブルペンに)入るわけだから」と気持ちの準備はできていた。先発サバシアは4回1/3で降板したが、5回未満ではポストシーズン最多の9奪三振。ロバートソン、チャプマンとつなぐ必勝リレーを見届けた。勝利の瞬間、ブルペンでも歓喜の輪が生まれエースは右手を突き上げた。そこからマウンドで喜ぶナインの輪に加わった。

 ワイルドカードから8年ぶりワールドシリーズへ一歩前進。第3戦の投球から流れが変わったことについて、田中は「分からない」と言った。「周りの人が判断してください。仮に自分でそれを言ったとしたらダサいでしょ。“僕の投球で流れを変えましたよ”って」。シャンパンを浴びるエースの顔には、笑みがあふれていた。(クリーブランド・大林 幹雄)

 ▼田中の地区シリーズ第3戦 負ければ敗退となる一戦で、7回3安打無失点。15年のワイルドカードゲームに続く2度目のポストシーズン登板で初勝利。0―0の4回1死三塁で連続三振を奪うなど7奪三振をマークし、チームの1―0勝利につなげ「こういうゲームで勝つために、ここに来た」と話した。

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