ロッテドラ1千隼 大谷&中田K斬り!初勝利 外れ1位5球団競合の真価

[ 2017年4月7日 05:30 ]

パ・リーグ   ロッテ5―1日本ハム ( 2017年4月6日    ZOZOマリン )

<ロ・日>5回2死一、二塁、中田から三振を奪った佐々木はガッツポーズで大きく吠える
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 ロッテのドラフト1位・佐々木千隼投手(22=桜美林大)が6日、日本ハム戦でプロ初登板初先発し、5回3安打1失点でプロ初勝利を挙げた。楽天の同9位・高梨雄平投手(24=JX―ENEOS)と並び12球団の新人一番乗りとなる白星。1点リードの5回に大谷と中田から空振り三振を奪ってピンチを切り抜け、斎藤との投げ合いにも勝った。昨秋ドラフトで外れ1位として史上最多の5球団が競合した実力を発揮した。

 2―1で迎えた5回1死二塁。佐々木の視線の先には、プロ入り初めて2番でスタメン出場した二刀流の大谷がいた。

 「1点もやれない場面。直前に1点取ってもらって何とか守りたかった」。フルカウントからの6球目。2度首を振り、マウンドを外した。最後に選んだのは宝刀シンカー。同学年のスラッガーから空振り三振を奪うと、グラブを叩いた。

 続く近藤を四球で歩かせた。4番・中田との勝負。スライダーで空振り三振を奪うと、今度は大きく吠えた。5回まで97球。毎回の6四球とピンチを招きながら耐えに耐えた。斎藤に投げ勝ち、プロ初登板初先発でつかんだ初勝利。「うれしい気持ちはある」と安どの笑みをこぼした。

 ZOZOマリン名物の強風は、初回の投球練習中には帽子が吹き飛ぶほどで、普段の倍近い風速11〜13メートル。投球時のバランスが崩れることから、女房役の田村のアドバイスで4回以降はセットポジションから投じた。直球は引っかけ気味でも、シンカーは鋭く落ちた。スライダーは球速を落として曲がりを大きくするなど工夫した。

 外れながら5球団が競合したドラフト1位だが、華々しい道を歩んできたわけではない。佐々木は壁にぶつかるたびに努力で乗り越え、成長を遂げてきた。都日野2年時に都選抜メンバー入りすると、チームメートに鈴木(広島)がいた。「衝撃を受けた。全てが凄かった」。意識が変わった。3年時にエースとして8強に導く旋風を巻き起こした。それでも希望していた大学のセレクションに落選。野球をやめることまで考えながら、当時首都大学リーグ2部だった桜美林大に進んだ。雨の日は自由練習だったが、欠かさず姿を見せた。1年後に1部昇格すると、4年時には初のリーグ優勝に導いた。

 プロに入っても苦しんだ。2月のキャンプではフォームが安定せず球が荒れた。「ヘタクソなんで、練習しないとダメなんです」とこぼし、全体練習後の誰もいないブルペンで150球以上投げ込んだこともあった。英二投手コーチは佐々木を「まだ6割くらい。完成していない」と評する。

 登板間隔が空くため、7日に出場選手登録を外れるが、即戦力の実力を発揮。初めて上がった本拠地のお立ち台で誓った。「日本一のファンの皆さんと、日本一のチームで、日本一を目指してやっていきます」。プロのスタートを切った背番号11に、大歓声が降り注がれた。(町田 利衣)

 ▼日本ハム・大谷 全体的に風の影響を受けていたので、そういう(変化球が多い)感じのピッチングをしていたんだと思う。変化球投手なのかなという印象はあったので、次の対戦に生かす。

 ▼日本ハム・中田 スライダーの曲がりは大きかった。真っすぐはもっと球威があると聞いていた。風を気にしながらでも、ピッチングができるのは凄い。

 ▼ロッテ伊東監督 苦しい場面も多く風も強かったが、1点に抑えてくれた。上出来だと思う。崩れそうになりながらも踏ん張れたのは、彼の持っている力。

 ◆佐々木 千隼(ささき・ちはや)1994年(平6)6月8日、東京都生まれの22歳。都日野では3年夏に西東京大会8強。甲子園出場はなく、高校通算33本塁打。桜美林大では3年春からエース。4年春から秋にかけて53イニング連続無失点のリーグタイ記録を樹立。首都1部の通算成績は45試合で24勝(13完封)11敗、防御率1.06。16年ドラフトでは外れ1位ながら5球団競合の末、ロッテ入団。1メートル81、83キロ。右投げ右打ち。

 ≪1失点以下は08年唐川以来≫新人の佐々木(ロ)が初登板初勝利。ロッテ新人の初登板初勝利は、昨年5月21日オリックス戦の関谷以来12人目。うち1失点以下で勝ったのは08年4月26日ソフトバンク戦の唐川(7回無失点)以来9年ぶり6人目だ。また、高梨(楽)とともに今季新人の白星一番乗り。ロッテ新人の白星一番乗りは12年の藤岡以来となった。

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