【石井一久クロスファイア】ソフトB・石川“第2の千賀”の道

[ 2017年2月22日 10:10 ]

ソフトバンクの石川柊太
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 19日に行われたソフトバンクの紅白戦でドラフト1位の田中正義の投球を見に行ったが、気になる投手がもう一人いた。4年目の右腕・石川柊太(しゅうた)。背番号は29。いい番号をつけているなと思い、プロフィルを見たが、育成出身で1軍登板はまだない。入団2年間は故障に泣き、昨季初めて2軍で試合に投げたという。

 1回を2安打2失点だったが、結果より、投球に光るものがあった。まず真っすぐに力があって、スライダーが縦に鋭く変化する。13年に育成ドラフト1位で入団したが、素材としては、今年のドラフト1位ルーキーたちと遜色ない。昨年7月、支配下登録された時に球団が「29」といういい番号を与えたのが、よく分かる。同じ育成出身の千賀のようになっても驚きはない。

 石川だけではなく、ソフトバンクの投手陣は逸材ぞろいだ。ブルペンをのぞいたが、共通するのは先発、リリーフに限らず、球が速いこと。名前はそこまで知られていなくても、みんな一線級のボールを投げている。他の11球団と比較しても「素材」という点では一つ抜けている。

 ソフトバンクの強さは、チームがうまく循環していることにある。好素材をじっくり育成させるだけの余力と時間があり、そうかと言って、主力に何年も頼るのではなく、工藤監督は常に新しい人材を探し、新陳代謝を求める。紅白戦では摂津も投げたが、数年前までエースだった投手ですら、ローテーションに入れるかどうかのハイレベルな争いになっている。

 唯一の弱点を挙げるならば、捕手か。ベテランの細川(現楽天)と契約しなかったのも、若い正捕手をつくろうとしているからだろう。この試合では4人が守ったが、計12盗塁を許した。積極的に盗塁を仕掛けてきたこともあるが、この日に限って言えば、いずれもスローイングが不安定だった。逸材ぞろいの若手投手陣を生かすのも捕手次第だ。(スポニチ本紙評論家)

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2017年2月22日のニュース