“杉内2世”坂田将人 23歳で2度目のクビ宣告も「続けたい」

[ 2016年10月17日 11:40 ]

工藤監督(右)の指導を受ける坂田将人
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 今年2月の宮崎キャンプ。ソフトバンク・工藤監督が小走りで駆け出す姿を思い出す。目的地はB組(ファーム)のサブ球場。お目当ての左腕は昨年の秋季キャンプで強化指定選手となった秘蔵っ子だ。目を見張る快投。さらに10日のシート打撃ではリハビリ中の柳田を併殺に仕留めた。あと1度実戦を経て、A組(1軍)昇格予定だった。

 だが、坂田将人を1軍で見ることはなかった。彼の姿を見たのは10月4日、ヤフオクドームだ。球団事務所で戦力外通告。投球スタイルが近いこともあり「杉内2世」と評価され、2010年のドラフト5位で入団した23歳だが、クビの宣告は早くも2度目になる。

 2年目の12年9月には左肩上方関節唇の手術。その影響で13年オフには戦力外通告を受け、育成選手として再契約した。14年にはプエルトリコのウインターリーグへ派遣され、昨秋には育成選手で唯一、工藤監督から強化指定選手に指名された。期待値から11月には再び支配下登録され、背番号が2桁(49)に戻る。今年2月に発症した左肩痛はそんな矢先のことだ。ただ、今季、痛みと格闘していた坂田を見捨てなかったのも、工藤監督だった。1軍の試合の合間を縫って福岡県筑後市のファーム施設を視察。時にはヤフオクドームへ呼び、リハビリのやり方を説いてくれた。「工藤監督に気に掛けてもらったのに申し訳ないです」と坂田。戦力外通告は予想できたが、恩に報いることができなかったことだけは、悔いが残った。

 9月には左肩上腕二頭筋腱の手術に踏み切った。全治4カ月。「腱がさけるチーズみたいだった」。再び投げられるようになるには、また相当のリハビリを積まなければならない。球団側が再度、育成契約してくれる可能性はあるが、現時点では白紙。「リハビリは続けたいです」。今季は昨秋の強化指定組から東浜、岩崎が1軍ローテーションに食い込んできた。再び、ユニホームを着ることさえかなえば…。「坂田将人」。この名は覚えておいてほしい。(記者コラム・福浦 健太郎)

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2016年10月17日のニュース