【東尾修の視点】第1戦とは別人だった大谷 闘志前面165キロはエースの矜持

[ 2016年10月17日 08:30 ]

パ・リーグCSファイナルS第5戦 ( 2016年10月16日    札幌D )

<日・ソ>9回、165キロを投げる大谷
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 3点リードの6回、日本ハム・栗山監督は3番手の谷元をマウンドに送った。継投の仕掛けが早い。試合前から「あるかも…」とは思ってはいたが、そのシーンを見て私も「9回は大谷投入」を確信した。勝利への最善策は何か。指揮官は前日の段階でプランニングしていたに違いない。仮にこの試合に敗れて、第6戦に大谷を中4日で先発起用しても100%勝てる保証はない。ならば…。最高の演出のような形になったが、栗山監督にしてみれば設計図通り。勝負度胸で決めにいった。

 大谷自身も、第1戦に先発した時とはまるで違う姿だった。あれほど一球一球、声を出すシーンは初めて見た。短いイニングで、勝てば日本シリーズに行ける。強くて、熱い気持ちが満ちあふれていた。エースとして何より大切なこと。そんなエースとしての矜持(きょうじ)が、165キロにつながったと思う。それにしてもフォークボールも151キロとは…。私は現役時代、直球の最速が140キロ台中盤だった。そのポテンシャルには驚くしかない。

 試合の流れの中では、2番手・バースの好投も見逃せない。初回に4点先制され、先発・加藤が1イニングで降板。続く2回から登板して3者凡退に抑えて流れを断ち切り、その裏の中田の本塁打を呼び込んだ。いける。その瞬間、札幌ドームの空気が変わったのを感じた。

 広島との日本シリーズ。短期決戦での大谷の起用法も含め、最後も最高の戦いを期待したい。(スポニチ本紙評論家)

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2016年10月17日のニュース