【東東京】関東第一　逆転サヨナラＶ　ヒーローは準決まで一塁コーチャー

[ 2016年7月29日 05:30 ]

第９８回全国高校野球選手権東東京大会決勝関東第一４―３東亜学園

（7月28日神宮）
　第９８回全国高校野球選手権大会（８月７日から１５日間、甲子園）の地方大会は２８日、１４大会で１８試合が行われ、全国で１２代表が決まった。東東京大会では関東第一が東亜学園に延長１０回、逆転サヨナラ勝ち。２年連続７度目の夏の甲子園出場を決めた。奈良大会ではセンバツ優勝の智弁学園が２年ぶり、群馬大会では前橋育英が初出場で全国制覇した１３年以来の代表に決定。２９日は２大会４試合が行われる。

　右中間に打球が弾む。その瞬間、左拳を握った森川の頬を涙が伝った。２―３の延長１０回。村瀬の適時打で追いつき、なおも１死二、三塁から劇的な一打で聖地への切符をつかんだ。「最高です。いいところに落ちてくれた。自分で感動しました」。歓喜に沸くナインの中で、１メートル５８とひときわ小さな体が輝いた。

　背番号は１４。準決勝までは一塁コーチャーだった。「信頼している選手を最後まで取っておいた。準決勝が終わったとき、決勝は森川でいくと決めた」と米沢貴光監督。森川はウオーミングアップ中、先発メンバーが書かれたボードに７番に自分の名前があるのを見て、驚きながらも「よし！」と気合を込めた。２回の今夏初打席で二塁内野安打を放ち、４回には中越え二塁打。課題の打撃で３安打を放った。

　入学時の身長は１メートル５６。背を伸ばすことを促すサプリメントを服用し、寮では棒にぶら下がった。睡眠も多く取るように心掛けた。だが３年間で伸びたのはわずか２センチ。「今も諦めていません」と笑うが「身長は関係ない。負けないところがあれば」と練習に取り組んできた。昨年の主力だったオコエ（現楽天）と並べば「胸くらいしかいかない」。先輩と過ごした日々を「“チビ”って呼ばれたり、一緒に室内で打撃練習をして内角の打ち方を教えてもらった。かわいがってもらいました」と懐かしんだ。

　全国４強入りした昨夏のオコエのようなスターは不在でも４回戦の堀越戦、準々決勝の修徳戦を合わせて３度のサヨナラ勝ちと勝負強さを見せ、３季連続の甲子園出場を決めた。昨夏から東京では公式戦２５連勝としたがセンバツで東邦に１安打零敗を喫したチームにとってはここがゴールではない。合言葉は「甲子園の借りは甲子園で返す」だ。　（町田　利衣）

　▼関東第一・村瀬主将（延長１０回１死二、三塁から同点の右前適時打）昨秋、今春と優勝して東京では負けられないという重圧の中、強い気持ちで戦えた。

　▼楽天・オコエ（１５年度卒）昨年まで一緒にプレーしてきた後輩たちなので、自分のことのようにうれしいです。甲子園でも関東一高らしい野球で、自分たちができなかった優勝を目指し、頑張ってほしいです。

　▽関東第一（東東京）サッカーも強い。ＯＢに楽天のオコエら。