【兵庫】鼻血に打球直撃も 市尼崎・平林 V二塁打&2失点完投

[ 2016年7月29日 05:30 ]

<明石商・市尼崎>33年ぶりの出場を決めた市尼崎のエース平林(右)は一番ポーズ

第98回全国高校野球選手権兵庫大会決勝 市尼崎3―2明石商

(7月28日 明石トーカロ)
 第98回全国高校野球選手権大会(8月7日から15日間、甲子園)の兵庫大会は28日、明石トーカロ球場で決勝戦があり、市尼崎が選抜8強の明石商を逆転で下し、33年ぶり2度目の甲子園出場を決めた。エース右腕の平林弘人投手(3年)が同点の8回に決勝の適時二塁打を放ち、2失点完投した。

 打球が左翼手・河村のグラブに収まると、三塁ベンチから一気に市尼崎ナインが飛び出した。マウンド付近にできた歓喜の輪の中心で、エース平林の笑顔も弾けた。

 選抜8強の明石商との公立校対決。相手エース吉高との投げ合いで、平林は負けなかった。4回、マウンドに上がる前に鼻血が止まらずベンチで止血するハプニング。「何も問題なかった」と気にしなかったが、6回には先頭・野村のライナーが腹部のみぞおち付近を直撃。一塁に送球してアウトにした後、うずくまり、再びベンチで治療を施した。「序盤はきつかったけど、とにかく強気で行こうと思った」。帽子のつばに同僚から記された『強気』の文字を見返し、その通りに投げ続けた。

 闘魂はバットにも乗り移った。2―2の8回1死二塁、2番手の三浦から右翼線に落ちる決勝の適時二塁打。「気持ちで打った」と少しだけ胸を張った。 昨秋の兵庫大会3回戦では2点を先制しながら2―3で逆転負けし選抜出場の道を断たれた。その悔しさをモチベーションに守備を鍛え上げ「接戦で勝てるように練習してきた」と話す。この日の得点は相手ミスが絡んだもの。3回1死三塁ではスクイズを外されたが捕手が捕球できず(記録は暴投)、7回は2死一、二塁から飯田の左前打の時に二塁走者・谷尻が三塁手と接触。走塁妨害で生還し同点とした。スコアも全く同じ3―2での逆転勝ちでリベンジを果たした。

 平林は延長15回引き分け再試合となった5回戦・西宮今津戦では6回から10イニング無失点など3回戦・福崎戦を除く7試合計57回を投げ8失点。抜群の安定感で甲子園切符をつかんだ。

 前回出場した1983年は生まれる前で、当時の主力選手だった池山(現楽天打撃コーチ)のことを聞かれると「名前は聞いたことがありますけど…」と頭をかいた。「甲子園に行きたくて、イチアマ(市尼崎の愛称)に来た」というエース右腕が「ニューイチアマ」の新たな歴史を聖地に刻みに行く。 (鶴崎 唯史)

 ▼楽天・池山打撃コーチ(83年度卒)33年ぶりの甲子園出場、おめでとうございます。地元の兵庫県代表として甲子園を沸かせてください。私は1回しか校歌を歌えなかったので、たくさん校歌を歌えるように頑張ってください。

 ▼楽天・金刃(02年度卒)信じられないです。竹本監督は僕が1年時に就任した監督で、人生の中でも尊敬する一人です。映像で監督が泣いていたシーンを見て、僕も感動しました。1勝と言わず、優勝を目指して頑張ってほしいです。

 ▼日本ハム・宮西(03年度卒)夏は力と精神力と運を味方にしないと勝てない。OBになって竹本監督の苦労も分かった。選手もよく頑張ったけれど、監督も耐えた。甲子園では思い残すことのないプレーをしてほしい。

 ▽市尼崎(兵庫)1913年創立。体操、バレーボールも盛ん。

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2016年7月29日のニュース