【三重】いなべ総合学園 悪夢の決勝リベンジ「立ち直れないほど…」

[ 2016年7月29日 05:30 ]

<いなべ総合学園・津田学園>甲子園出場を決め喜ぶいなべ総合学園ナイン

第98回全国高校野球選手権三重大会決勝 いなべ総合学園10―4津田学園

(7月28日 四日市市営霞ケ浦)
 第98回全国高校野球選手権大会(8月7日から15日間、甲子園)の三重大会決勝が28日、四日市市営霞ケ浦球場であり、いなべ総合学園が10―4で津田学園を破り6年ぶり2度目の甲子園出場を決めた。同点の3回に敵失などで5点を勝ち越し、計13安打10得点と打線が機能した。

 因縁の9回は3人で締めた。マウンドの水谷優を中心に、雄たけびをあげながら、いなべ総合学園ナインがマウンド付近に集まる。昨年の先輩が味わった屈辱を、最高の形で晴らした。上中裕太主将は「三重県代表の誇りと自信を胸に頑張りたい」と高らかに宣言した。

 ちょうど1年前の7月28日、悪夢のような敗戦を喫した。津商との決勝戦は8回を終えて6―3と優勢。しかし、9回表に5点を奪われ、甲子園切符はスルリと逃げた。尾崎英也監督は「立ち直れないほどのショックだった」と振り返る。選手たちは苦い経験を生かし、この日は最後まで攻撃の手を緩めなかった。1―1の3回に敵失で勝ち越し、さらに藤井、深瀬の適時打などで5得点。4点優勢の6回には宮崎、神田の連打を起点にした無死一、三塁から藤井が右中間を破るダメ押しの2点二塁打を放った。「走者をかえすのが自分の役割。いい仕事ができた」。相手の戦意を失わせる一撃に笑顔がこぼれた。

 最終回は平常心で戦えるように意識した。昨夏の決勝戦をスタンドで観戦した水谷優は「野球の怖さを身に染みて感じた」。8回に力んだ球を本塁打されたことが、逆に自分本来の投球を取り戻すきっかけになった。「バックを信じて打たせよう」。直球を低めに集め、クリーンアップを3者凡退に仕留めた。

 返したい借りは昨夏の分だけではない。捕手の渡辺雄は、試合前に高松商・竹内からメールをもらっていた。「おまえたちは夏も行ってくれ―」。今春の選抜1回戦で対戦して惜敗した相手は、25日の香川大会決勝で涙をのんだ。攻撃中のスタンドからは4度、高松商のチャンステーマが流れた。その理由を「ちょっと格好いいかな、と思って使ってもらった」と照れたが、託された思いに応えたかったというのも当然あった。

 チームは過去に春夏1度ずつ甲子園に出場し、ともに初戦敗退。様々な経験を積み、たくさんの思いを背負ったナインなら、初勝利をつかみ、きっと新たな歴史を刻んでくれるはずだ。 (石丸 泰士)

 ▽いなべ総合学園(三重)1922年創立の県立校。レスリングも盛ん。

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2016年7月29日のニュース