ハム矢野 逆王手打!不振も巨人時代からPS大好き通算打率・320

[ 2015年10月12日 05:30 ]

<日・ロ>ハム逆王手だ!お立ち台で絶叫する矢野(左)。右はレアード

パ・リーグCSファーストS第2戦 日本ハム4-2ロッテ

(10月11日 札幌D)
 逆転!逆王手!パ・リーグのクライマックスシリーズ(CS)ファーストステージは11日、第2戦が行われ、レギュラーシーズン2位の日本ハムが同3位のロッテに4―2で逆転勝ち。対戦成績を1勝1敗とした。1点を追う8回に同点とし、矢野謙次外野手(35)が決勝の2点中前打。12日の最終第3戦で日本ハムは勝つか引き分ければ、ファイナルステージ(6試合制)進出が決まる。

 プロ13年間で培った技術と経験が自然とそうさせた。同点に追い付いた8回1死二、三塁。打席の矢野は冷静だった。

 「併殺はない。内野も前に来ていた。“(内野の)頭さえ越えれば”と楽な気持ちで打席に入った」。ロッテの4番手・大谷の初球カーブをバットの先端で拾って中前に運ぶ。勝ち越しの2点タイムリー。満員の札幌ドームには涙を流して喜ぶファンもいた。矢野も一塁ベース上で三塁ベンチへ向けてガッツポーズして喜びを爆発させた。

 負ければ今季が終わる瀬戸際でベテランが真価を発揮した。直前の8回2死一塁では左翼守備で左中間への飛球を懸命に追いかけ、グラブを差し出しキャッチ。「捕ったというより入った」と笑ったが、終盤で致命的となる追加点を防ぐスーパープレーだった。この日は中継ぎ陣を手厚くする狙いで、ベンチ入り野手は前日の第1戦より1人少ない15人。矢野は7回に代打・浅間の代打で出場して凡退したが、栗山監督が「もう一回チャンスが来る」と左翼に入れていた。そして巡ってきた2打席目で放った決勝打。指揮官の期待に攻守両面で応えた。

 積極性こそが矢野の真骨頂だ。03年に巨人に入団し、まだ2軍でもがき苦しんでいた頃、小谷正勝2軍投手コーチ(現ロッテ2軍投手コーチ)から「おまえみたいなヤツはあつかましく初球からいけ」と言われた。これで気持ちが吹っ切れた。思い切りの良さが買われ06年から2年連続100試合出場と1軍での活躍が増えた。今季は8月に25打席連続無安打と不振を極めて「こんなに打てないのは初めて」と悩んだ時に巨人時代の映像を見返した。そこには積極果敢なかつての自分の姿があった。4打席を4球で終えた試合もあったという。この日の決勝打は初球打ち。本来の打撃がよみがえった。

 栗山監督は「稲葉とか二岡とか長いことレギュラーを張っていた選手でないと代打は難しい。うちで代打一本で勝負できるのは謙次(矢野)しかいない」と言い切る。1年前のCSでは昨季限りで引退した稲葉が代打で6打数3安打2打点と活躍したが、今年は矢野がいる。お立ち台では「じゃあ、みんな用意はいいですか?ファイターズ最高!」と絶叫。頼りになる勝負師が息を吹き返して、2年連続のファイナルS進出へ逆王手をかけた。 (柳原 直之)

 ≪PS大好き通算打率.320≫矢野(日)が8回勝ち越しの2点中前安打。CSは日本ハム移籍後初出場だが、巨人時代からのポストシーズン成績は通算50打数16安打、打率・320と短期決戦で気を吐いている。また、殊勲安打は巨人在籍時の12年日本シリーズ第6戦(対日本ハム)で初回先制安打を放ったのに次いで2度目。V打となったのは初めてだ。

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