【真中監督×石井氏対談】糧となった5月9連敗「動くほど泥沼にはまる」

[ 2015年10月3日 12:28 ]

笑顔で握手を交わす真中監督(左)と本紙評論家の石井一久氏

 就任1年目で見事にリーグ優勝を果たしたヤクルト・真中満監督(44)を、スポニチ本紙評論家の石井一久氏(42)が直撃した。90年代のヤクルト黄金時代を知る2人で、前回リーグ優勝した01年は真中監督は1番打者として、石井氏はエースとして活躍し、チームを日本一にまで導いた。年齢も近く、気心が知れた間柄だけに、今季の戦いを振り返るとともに、当時の思い出もよみがえってきた。

 石井 監督1年目で優勝、おめでとうございます。2年連続最下位のチームを、凄いですね。

 真中 監督を引き受けやすかったのは、あるかな。優勝チームとか、常に上位を争っているチームだと、勝たなくちゃいけないとかあるけど、2年連続最下位ということで、ある意味、思い切って、自分のやりたいことがやりやすかったかな。

 石井 開幕から順調に来たように見えますが。

 真中 いや、実は結構あったんだよ。5月に9連敗があった。1位に上がった後に最下位まで落ちたからね。

 石井 9連敗した時、今年もここからズルズルいってしまうのか、と思った人も多いと思います。

 真中 正直、連敗が続いた時は、俺もこれからどうやっていけばいいのか迷った。でも、6連敗した時に相手チーム(阪神)も連敗していたんだけど、その監督の動きや采配を見ていると、普段こんなところで送りバントするの?とか、普段ならこういう動きはしないよね、というのがあった。俺も多分、こうなってるんだと感じた。結局、負けが続くと何かを変えなきゃいけないとなるでしょ。でも泥沼って、動けば動くほどはまる。そこで少し冷静になれた。開幕1カ月ぐらいで、これだけの試練を与えてくれているんだと、少し前向きになれたかな。

 石井 早めにそういうのが来たのも良かったんですかね。

 真中 確かに、そう。そこで経験できたので、その後に来たヤマでも、そういうふうに思えた。こういう経験させてくれているんだなとか。

 石井 戦略的な話で言うと、2番に川端を置いたのが大きいんじゃないですか。

 真中 結局、うちの投手力を考えた時に初回に1点を取っても勝てないじゃない?川端が2番じゃなければ、おそらく送りバント。となると、初回1点。でも終盤に追いつかれたら一緒だから。だったら3点、4点取りにいこうというスタイルのためには、2番に足がある左バッターがいいという考え方。

 石井 真中さんは足はそんなに速くなかったけど(笑い)、2番も打ったでしょ。

 真中 まあまあ速かったぞ(笑い)。

 石井 2番を固定できるって、強いチームの条件だと思うんですよ。

 真中 そうね。今のチームバランスを考えると川端が2番だね。でも、俺はそこにこだわりはないよ。バレンティンがいなかったというのもあるけど、川端、山田、畠山の3人を並べたかった。何となく下位が薄いからバラしたくなるけど、そうすると、どこかに弱さが出て、そこで勝負を避けられる。川端でも、山田でも、畠山でも勝負してほしい。相手が一番嫌な打者と勝負させるシチュエーションをつくりたい。別に1、2、3番でも、3、4、5番でもよかった。

 石井 投手で言うと、バレンティンがいなかったことで、外国人4人の中で3人を後ろに使うことができた。僕的には、変な意味ではなく、後ろ3人が外国人というのは邪道な感じもしますが。

 真中 邪道だよな(笑い)。でも、うちは昨年、防御率が最下位で、終盤に試合を壊す展開が多かった。後ろでひっくり返されると、ダメージは大きいでしょ。だから、勝ってる試合は確実に獲りたいという発想から、そうなった。

 石井 でも、後ろに3人を回せるのは、ある程度の攻撃力があるからですよね。

 真中 それは間違いない。確かに、点数が取れなければ、後ろのピッチャーに3人使っている場合じゃないからね。

 石井 石川の存在も大きくないですか?

 真中 本当に勝ちたい、優勝したいというのが凄く伝わってくる。それに館山を含めて、みんなが乗せられている感じがしたね。

 石井 石川は02年からで、強いヤクルトにはいなかったけど、強い時代の選手と一緒にやっている世代。僕は後半は石川がキーマンだと思っていた。登板間隔を詰めても確実に試合をつくれる投手だからね。

 真中 中4日でも行くし。本当によくやっているよ。

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