新井 いきなり“大ボケ”「守備のことなら何でも聞いて」

[ 2015年1月20日 08:34 ]

 阪神から8年ぶりに広島に復帰した新井貴浩内野手(37)が19日、廿日市市の大野練習場で行われている合同自主トレに初参加。ジョークを交えた絶妙なあいさつを披露し、新人選手をはじめ、新しいチームメートの心をガッチリとつかんでみせた。ランニング、ノック、フリー打撃など軽快な動きでフルメニュー。やはりこの男の存在感は抜群だ。

 底冷えする屋内練習場が一瞬にして温まった。練習前、この日初めて合同自主トレに参加した新井があいさつのため、ナインの前に立った。

 「新井です。久々に帰ってきました。よろしくお願いします」

 ここまではごく普通の言葉が並んだ。しかし…。

 「アドバイスするので、守備のことなら何でも僕に聞いて下さい」

 ナインは大爆笑だった。新人たちは大先輩のジョークに笑っていいのか複雑な表情を浮かべるだけだったが、8年ぶりに古巣復帰した男はガッチリと新しいチームメートの心をつかんだ。プロ16年間で163失策。お世辞にも“名手”とは呼べない男の、こん身のジョークには狙いがあった。

 「テレビで見る人ばかりだった。そりゃ緊張したよ」――。

 入団初年度の1999年。新井自身、当時の中心選手だった野村、緒方、金本、江藤、前田ら、そうそうたるメンバーのオーラに圧倒され、近寄ることすら恐れ多かった。存在感で諸先輩に肩を並べたとは思っていないが、新人から見れば、自分も通算1854安打を放った存在ということになる。緊張感という負担を与えず、新人達を練習に集中させたい。新井なりの配慮にドラフト1位・野間も「あいさつに行こうと思っていたら、新井さんから来ていただいて…」と感激しきりだった。

 動きは軽快そのものだった。ランニング、ノック、フリー打撃など全体メニューをフルで消化。「実際に投げてくれる球を打つのは久々なので、感覚だけ。手応えは分からないけど、しっかり触れて良かった」。新井にあいさつを提案した同期入団の東出も「体ができている。この時期にあれだけ動けるんだから」と舌を巻く完成度。レギュラー奪取への決意は練習内容で表れた。

 新井は古巣の温かさや再び、赤いユニホームを身にまとう実感をかみしめた。

 「みんなと一緒に練習できて、徐々にそういう感覚になってきた」

 一丸で24年ぶり優勝に突き進む赤ヘル軍団。その中心に、チーム愛あふれるベテランも加わった。

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2015年1月20日のニュース