松坂世代メジャー経験組の現在 球児&和田は来季が正念場

[ 2014年12月18日 11:00 ]

来季はレンジャーズでプレーする藤川(AP)

 松坂大輔が帰ってきた。甲子園での春夏連覇、新人から3年連続での最多勝、WBC2大会連続MVP……日本球界の先頭を走ってきた「平成の怪物」が9年ぶりに日本球界に復帰する。2000年以降のプロ野球界を支えてきた「松坂世代」の面々にも大きな刺激になっているはずだ。

 そんな「松坂世代の今」をおさらいしてみたい。と言っても、やはり、野球界で一時代を築いた選手は数多い。メジャーリーグのマウンドに上がったことがある投手、という括りで絞ってみた。

◎藤川球児(高知商高→阪神→カブス→レンジャーズ)

 2012年オフに阪神から海外FA権を行使して、2年契約でカブス入りを果たした藤川。しかし、去年、今年は試練の2年間となった。

 メジャー1年目は開幕早々に勝ち星とセーブを記録するも、5月末に右ヒジのトミー・ジョン手術を受けて残り試合を欠場。今季は8月にメジャー復帰を果たしたが、15試合にリリーフ登板して、勝ち星・セーブともつかず、防御率は4.85という成績だった。2シーズンの通算成績は27試合に登板して1勝1敗2セーブ、防御率5.04。カブスは既に来季契約を結ばない意向を示し、フリーエージェントとなった藤川。来季はレンジャーズでプレーする。
【現在まで589試合に登板。通算43勝26敗222セーブ※日米通算】

◎和田毅(浜田高→早稲田大→ダイエー・ソフトバンク→オリオールズ→カブス)

 2011年オフにFA権を使い、メジャーリーグ挑戦を表明し、ボルチモア・オリオールズと2年契約を結んだ和田毅。しかし、1年目のスプリングトレーニングで左ヒジ痛を発症。その後、左ヒジ靭帯の部分断裂が判明し、5月末にトミー・ジョン手術を受けた。翌2013年秋、一度もメジャーのマウンドに登らないまま、オリオールズを自由契約に。

 今季はシカゴ・カブスとマイナー契約を結びスタート。3Aで週間MVPを獲得するなど地道に結果を残すと、7月8日の試合で、渡米3年目にしてようやくメジャーのマウンドに登った。今季は結局、4勝4敗と評価が難しい数字だった。

 年齢的な上積みのなさを指摘される一方で、コンディションが整えば、タイミングの取りづらいフォームやコントロールのよさで岩隈久志(マリナーズ)のような活躍もできるのではないか、という声もある。11月には、カブスと年俸400万ドルのメジャー契約を結び、日米野球ではアメリカ代表チームの一員として参戦。来季に向けて、明るい話題でシーズンを締めくくった。
【現在まで223試合に登板。通算111勝65敗※日米通算】

◎多田野数人(八千代松陰高→立教大→インディアンズ→日本ハム→?)

 諸処の事情で大学卒業後にアメリカに渡り、インディアンズとマイナー契約。2004年に松坂世代の中でいち早くメジャーのマウンドに登った多田野。5年間で15試合の登板で1勝1敗にとどまるが、アレックス・ロドリゲスを球速60キロから70キロといわれる超スローボールで打ち取るなど話題になった。

 2007年のドラフトで日本ハムから1位指名を受け、入団。ボークや被本塁打が多く、安定した活躍はできないものの、2009年には9回2死から大松尚逸(ロッテ)に安打を打たれ、ノーヒットノーランを逃したり、2010年オフに一度戦力外通告を受けながらも日本ハムと再契約をしたり、日本でも超スローボールを投げたりと話題に事欠かない投手だった。

 2014年は5試合の登板に終わり、自ら退団を申し出た多田野。まだ、来季の動向が明らかになっていないが、再び脚光を浴びた超スローボールは、どこで見られるのだろうか?
【現在まで95試合に登板。通算19勝21敗※日米通算】

 松坂も含めて、4選手がメジャーリーグの舞台に立った。アマチュア時代からの盛り上がり、NPBでの活躍ぶりを考えると意外に少なく、松坂以外の活躍も乏しい。藤川も和田も渡米して早々にトミー・ジョン手術を受けることになり、いい印象はほとんどないだろう。ここから「リベンジ」を果たし、活躍できるかどうか。藤川球児と和田毅の奮闘に期待したい。

 ちなみに、上原浩治(レッドソックス)や岡島秀樹(来季からDeNA)、マック鈴木(元ロイヤルズほか)など1975年度生まれが7選手と、一番メジャーリーグで出場した選手が多い世代となっている。(週刊野球太郎編集部)

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