原監督「奇跡」逆転サヨナラ!巨人最短30日マジック点灯

[ 2014年8月27日 05:30 ]

<巨・神>9回2死二塁、サヨナラ打を放ったロペス(中央)に抱きつく阿部

セ・リーグ 巨人4-3阪神

(8月26日 東京D)
 偽らざる心境だろう。「奇跡のようなゲームでした」。巨人・原監督の試合後の第一声だった。

 2―3の9回。阪神の守護神・呉昇桓(オ・スンファン)を攻略、逆転サヨナラ勝ちで首位攻防戦の初戦を制した。指揮官が「奇跡」と形容するまでの苦しい試合をはね返したのは、4番・阿部だった。

 「開き直って真っすぐ一本で。(フォークボールが来て)落ちたら、ごめんなさいと。いい感覚で打てたから、(外野手の)頭を越えるとは思ったけどね」

 阪神・メッセンジャーの前に5回まで1安打。今季4敗を喫している天敵にまたも封じ込められていた。だが、0―3の6回2死二塁。阿部が初球の外角高め、152キロを叩いた。左中間への15号2ラン。4回にはフォークボールでプロ通算1000三振を喫した。複数の球種を待っていては打てない。決め打ちだった。

 主砲は1点差で迎えた9回も口火を切った。先頭で右翼線二塁打。呉昇桓の初球のワンバウンドをフルスイングした。「ああいう空振りができて、思い切りいけるようになってきた」。3球目の同じ速球を叩いた。迷いなきフルスイングが奇跡の扉を開いた。

 右膝関節挫傷の長野はまだ走れない。この日、高橋由は右手中指の脱臼で出場選手登録を外れた。捕手の実松は、23日に死去した父・信芳氏の葬儀・告別式に参列のため、不在だった。野手の絶対数を欠いた。24日には都内の焼き肉店で選手間で決起集会を開き、阿部は「今この位置にいるのは、みんなの頑張りがあったから」と締めのあいさつをした。思いは定まった。「今から僕が50本(塁打)打てるわけじゃない。打率も気にしている暇はない。その試合で何ができるか、一人一人が考えてやっていくしかない」。主将が厳しい戦いを勝ち抜く覚悟を口にした。

 今季は4番打者をなかなか固定できなかったが、8月に入って阿部が全試合4番を務める。原監督も「4番で風が変わったのは(今季)初めてかもしれないね。(6回の2ランで)逆風から凪(なぎ)の風くらいに変わった」と評した。

 眼下の敵、阪神とのゲーム差は2・5に広がった。何よりメッセンジャーが投げた試合に勝った。その意味は決して小さくはない。

 ≪最短M点灯日は30日≫ロペス(巨)が9回サヨナラ中前打。サヨナラ打は22日中日戦の延長12回に右犠飛でマークしたのに次ぎ2本目。巨人で月間2本のサヨナラ打は亀井が09年8月4日広島戦、8日ヤクルト戦と本塁打を放って以来5年ぶり。チームの外国人ではロペスが初めて。また巨人のサヨナラ勝ちは今季8度目。昨年9度のサヨナラ勝ちを記録しており2年連続8度以上。巨人がシーズン8度以上のサヨナラ勝ちを2年続けたのは49、50年(ともに8度)以来64年ぶり2度目になる。なお、巨人の最短マジック点灯日は30日。条件は巨人が27日の阪神戦から4連勝し広島が4連敗することで、この間阪神の成績次第によりM23からM25のいずれかが出る。

 ≪1000三振≫阿部(巨)が阪神戦の4回にメッセンジャーから今季55個目の三振を喫し通算1000三振を記録した。プロ野球57人目。巨人では王1319、高橋由1134、柴田1087に次ぎ4人目。初三振は01年3月30日の阪神戦で井川から。

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