ロッテ 涌井 早くも溶け込んだ 人見知り右腕の“強い意志”

[ 2014年3月9日 06:14 ]

右のエースを目指し開幕に向け調整を続ける涌井

 ロッテの黒いユニホームが不思議なほどなじんでいる。国内FAで西武から移籍してきた涌井について、チーム内では「ずっとロッテにいたみたい」という声が多い。

 もともと、人見知りな性格。人生初の移籍は、大きな挑戦でもあった。「一日でも早く溶け込みたい」。キャンプ前から繰り返していた言葉だ。石垣島キャンプからの長期遠征中は、休日などを利用してベテランから若手まで幅広い層と、積極的に食事や観光に出かけた。岡山遠征では唐川、益田、藤岡の投手陣だけでなく、4年目の捕手・江村とも食事を楽しんだ。西武時代からの恩師で、涌井が「第2のおやじ」と慕う大迫トレーニングコーチも「ロッテにきたのは、あいつが何か変えようという強い意志があるからこそ。すぐになじむだろうから、大丈夫だよ」と太鼓判を押す。

 過去2年は先発としては結果が出せずに苦しんだ。12年は登板55試合のうち先発は3試合のみ(1勝5敗)。昨季は11試合に先発し、5勝だった。だが、まだ27歳。「復活」という言葉を使うには若すぎる。過去に2度の最多勝を獲得し、09年には沢村賞にも輝いた。西武入団時の監督でもある伊東監督は「先発としてしか考えない。あれだけの選手だからね。普通に投げれば勝てる」と言い切った。

 2月23日の広島との練習試合(コザしんきん)は3回1失点、3月4日のオープン戦・楽天戦(倉敷)も4回1失点と安定感を発揮し「順調にきている」と確かな手応えを感じている。「左のエースは成瀬さん。右のエースになりたい」。まだ開幕前ではある。だが、早くもチームになじんでいる姿を見ると、移籍の決断は正しかったと確信しているに違いない。

 ◆涌井 秀章(わくい・ひであき)1986年(昭61)6月21日、千葉県生まれの27歳。横浜では2年春にセンバツ準優勝。3年夏はエースとして8強入り。04年ドラフト1巡目で西武に入団。2年目の06年から5年連続で2桁勝利を挙げ、07、09年に最多勝を受賞した。1メートル85、85キロ。右投げ右打ち。

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2014年3月9日のニュース