大谷 雪辱!藤浪へのライバル心「シーズンで勝てば涙が出ます」

[ 2014年3月9日 07:29 ]

<神・日>藤浪(奥)が見つめる前で力投する大谷

オープン戦 日本ハム6―5阪神

(3月8日 甲子園)
 日本ハムの大谷翔平投手(19)が8日、「甲子園初勝利」を挙げた。阪神とのオープン戦に先発し、5回2安打1失点。花巻東(岩手)時代の12年センバツ1回戦で敗れた阪神・藤浪晋太郎投手(19=大阪桐蔭)との投げ合いを制した。3回には今キャンプから取り組むカーブで連続三振を奪うなど「投手・大谷」としての進化も見せた。

 初めて甲子園で勝った。2年前のセンバツで藤浪と投げ合って以来の聖地のマウンド。5回を投げ終え、ベンチへ颯爽(さっそう)と戻った大谷は、うれしそうに笑みを浮かべた。

 「負けた思い出しかなかったので、良い投球ができて良かった。ちょっと1個いい思い出ができた」

 甲子園での勝利とは無縁だった。高校時代は2年夏と3年春の2度出場したが、いずれも初戦敗退。大阪桐蔭を史上7校目の春夏連覇に導いた藤浪とは、高校時代から常に比較されてきたが「去年は歯が立たなかった。藤浪は結果を出している。僕は挑戦する立場」と謙虚な姿勢は変えなかった。だがオープン戦とはいえ、その藤浪に投げ勝っての聖地での勝利。「シーズンで勝てば涙が出ます」と珍しく軽口まで飛び出した。

 この日、最も光ったのは最速156キロをマークした直球ではなく、カーブだった。1年目の昨季は100キロ前後のスローカーブを投げていたが、腕の振りが直球より極端に遅くなり、打者から容易に見極められた。その点を厚沢投手コーチから指摘され、今キャンプでは直球を投げるときと同じ投球フォームでカーブを投げることに取り組んできた。3回。先頭の新井良、続く清水をともに116キロのカーブで連続三振に仕留めた。「手応えのあるカーブだった」。取り組みは実りつつある。

 栗山監督は大谷の究極の理想像として、ヤンキースの田中を挙げているという。ローテーション投手として長いイニングを投げるためには、全ての球種を同じ投球フォームで投げる必要がある。昨季の田中がそうだった。この日、大谷が直球とカーブを同じ投球フォームで投げることができたのは、理想に向けた階段を上り始めたことを意味する。栗山監督は「こっちがイメージしているのはチームを絶対的に勝たせる投手。期待度が違う。まだ全然だよ」とあくまでも厳しい態度を貫いたが、一方で「だいぶまとめられるようになってきた」と成長も認めた。

 昨季の公式戦では1イニング平均17・8球の球数を要したが、この日は5回で71球。1イニング平均では14・2球と先発投手として、進化した部分も見せた。投手に軸足を置きながら二刀流で臨む今季。「まだまだ勝負の時期なのは変わらない」。指揮官が求める究極の目標に向かって、大谷はさらなる成長を誓った。

 ◇12年センバツの藤浪VS大谷 3月21日、大会初日の第3試合で対戦。大阪桐蔭・藤浪が8安打2失点、12奪三振で完投して甲子園初勝利。一方、花巻東・大谷は6回以降に崩れて8回2/3を7安打9失点。11三振を奪いながら11四死球の制球難で逆転負けを喫した。最速はともに150キロを計測。だが、大谷は2回に右翼席へ特大の先制ソロを放ち非凡さを見せた。

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