ライアン小川、単独トップ8勝 球宴出場も当確

[ 2013年6月30日 06:00 ]

<ヤ・巨>レフトスタンドのファンに向かって手を上げる小川

セ・リーグ ヤクルト2-1巨人

(6月29日 静岡)
 豊作ルーキーの出世頭だ!「ライアン」こと、ヤクルトのドラフト2位・小川泰弘投手(23)が29日、巨人戦に先発し、7回まで毎回走者を背負いながらも1失点と力投。同じ新人の巨人・菅野智之投手(23)らを抜いてリーグ単独トップの8勝目を挙げ、チームを巨人戦4連勝に導いた。新人で初登板から巨人戦2戦2勝は球団史上初。1メートル71の強心臓ルーキーが、新人王争いどころか、最多勝争いもリードする。

 自分の力を信じて腕を振った。ひるむことなく、大胆に。1―0の6回2死一塁からボウカーに右中間フェンス直撃の適時三塁打を浴びて同点とされたが、小川は信念である強気の投球スタイルは崩さなかった。

 「強敵なので少しでも引いたら負けると思って大胆にいった。カットボールが勝負どころで内角に投げられた」。

 2死三塁で打席には高橋由。ここで内角カットボールで詰まらせて二ゴロに打ち取ると、笑みがこぼれた。ハーラー単独トップの8勝目を挙げた孝行息子に小川監督も「精神面が非常に凄い。マウンドでの立ち居振る舞いが素晴らしい」と賛辞の言葉を並べた。

 改修工事が終了した草薙総合運動場野球場のこけら落とし試合。ノーラン・ライアンを参考にした左足を高く上げるフォームで強力巨人打線に立ち向かう姿は、1934年に同球場で行われた日米野球第10戦で、ベーブ・ルースら強打者を相手に快投を見せた元巨人の大エース・沢村栄治の豪快なフォームとダブる。沢村について「足を高く上げるイメージ」と共通点を挙げる右腕は、自己最速に並ぶ148キロを3度マークするなど初回から飛ばした。毎回走者を背負ったが、2併殺を奪うなど要所で内角を突いて、7回で7安打ながらも1失点。新人で巨人相手に初登板から2戦2勝は球団史上初の快挙だ。

 向上心が小川を支えている。1月の新人合同自主トレ。体幹の筋力を調べたところ、新人の中では低い部類だった。足を高く上げるフォームは体の軸が生命線で、体幹が弱いと軸がぶれてしまう。そのため、下半身が弱る夏場に向けて体幹を重点的に強化。ランニングメニューも他の投手より2~4本多い本数をこなし、今では投手陣の中でもトップクラスの筋力を誇る。その成果は表れている。6月は疲労がたまる時期だが、ここ3試合は24回を投げ、防御率は0・83と調子を落とす気配は全くない。

 全セの指揮を執る巨人・原監督の目の前で快投を見せ、7月1日の監督推薦での球宴出場はほぼ当確だ。「これからも自分らしく強気の投球で一勝一勝重ねていきたい」。巨人・菅野らとの新人王争いどころか、最多勝争いのトップに立った。6月はチーム6勝のうち、半分の3勝を稼いだ1メートル71の小柄なルーキーが、最下位に低迷するチームの中でまばゆい輝きを放っている。

続きを表示

2013年6月30日のニュース