「ダルVS黒田」かすんだ イチローサヨナラ弾

[ 2013年6月27日 06:00 ]

<ヤンキース・レンジャース>9回2死、右越にサヨナラ本塁打を放ちスタンドのファンに両手を振って引き上げるイチロー

ア・リーグ ヤンキース4―3レンジャーズ

(6月25日 ニューヨーク)
 主役をかっさらった!ヤンキースのイチロー外野手(39)は25日(日本時間26日)、レンジャーズ戦で同点の9回にメジャー自身2本目のサヨナラ弾となる4号ソロを放った。ヤ軍黒田博樹投手(38)とレ軍ダルビッシュ有投手(26)の日本人対決として注目を集めた一戦。2人で5本塁打を喫するなどピリッとしなかったが千両役者が一振りで試合を決めた。ダルビッシュからも安打を放ち2安打で、日米通算4000安打にあと49となった。

 サヨナラ本塁打は、打った者だけが主役を許される独り舞台。イチローはゆっくりダイヤモンドを回り、クールに決めていた。「ヘルメットを取ったりするのは僕じゃないし、ひっそり入っていこうと」。だが、本塁で待ち構えるナインの姿を見ると、頬が緩んだ。ハイタッチならぬロータッチに、しゃがみながら歓喜の輪に突入した。

 3―3の9回、3球目に一塁走者のガードナーが二盗に失敗して2死。球場内をため息が覆い始めた、その時だ。4球目の内角97マイル(約156キロ)の高速シンカーをフルスイング。会心の当たりが右翼席に飛び込んだ。

 「めっさ、気持ち良かったです」

 関西の若者が使う言葉で第一声を発したイチロー。サヨナラ打はメジャーで5本目だが、本塁打はマリナーズ時代の09年ヤンキース戦以来。この時、黒星を付けた抑えのリベラに、この日は今季初白星をもたらした。

 39歳。相手投手は速球中心で攻めてくるが、それに屈するわけにはいかない。最近の打撃練習では、ボールを体のギリギリまで呼び込み、そこから押し込むように打ち返す。以前のように体の前で捉えて、バットにボールを乗せて柵越えを連発する練習に比べれば、見栄えも良くない。それでも力勝負に対抗できる練習を繰り返した。試合後、米メディアの「本塁打を狙っていたか」の問いには「いやいや、この(細い)腕でそれはないでしょ」と否定したが、156キロを右翼最深部に運んだ意味は小さくない。

 昨季、11打数6安打、打率・545と打ち込んだダルビッシュからも初回に左前打した。奪三振で両リーグトップの右腕については「スライダーは右バッターにも左バッターにもいい球だった。その日のいい球でゲームをつくることができるのがダルの能力だと思う」と評価したが、そのコメントには貫禄が漂う。

 2安打で、日米通算4000安打まで50本を切り、49本とした。5試合連続安打。6月は21安打を重ね、4、5月の22本を上回るのは間違いない。日本人選手では前人未到の大記録へ、ゆっくり、そしてイチローらしく歩みを進めていく。

 ▽めっさ 関西地方の若者言葉で「とても」の意。語源にはいくつかの説があるが「めちゃくちゃ」→「めっちゃ」→「めっさ」と変化して生まれたという説が有力。十数年前から聞かれる言葉だが、現在では関西地方に限らず、全国の若者の間で使われている。イチローは09年に8年連続でゴールドグラブ賞を受賞した際にも「めっさ、うれしいです」と感想を語っていた。

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2013年6月27日のニュース