米国代表、ゴジラも苦手だった高速ナックルボーラー参戦へ

[ 2013年1月15日 06:00 ]

 侍ジャパンに最大の難敵が出現した。WBC米国代表に、ナックルボーラー右腕のR・A・ディッキー投手(38=ブルージェイズ)が参加する意向であると13日(日本時間14日)、複数の米メディアが伝えた。

 米国代表のジョー・トーリ監督(72)は昨年12月の会見で「負けるのは嫌い」と宣言。3連覇を狙う日本を倒すために、最高の投手を口説いた。日本選手にはなじみの薄い「魔球」の使い手だ。ディッキーは昨季所属したメッツで20勝、リーグトップの230奪三振をマークし、ナックル投手として史上初のサイ・ヤング賞を獲得した。

 しかも、普通のナックルボーラーではない。かつてウェークフィールド(元レッドソックス)らの100キロ前後の球速と違い、130キロを超える速さで揺れながら落ちる。凡打を誘うのでなく、直球やスライダーなども交えて三振を奪う。制球も抜群で、メジャー屈指のドクターKなのだ。

 昨年限りで現役引退した松井秀喜氏も、ディッキーに苦しめられた。通算11打数3安打も、ナックルに磨きをかけた10年以降は5打数無安打。アスレチックス時代の11年には2三振を喫し、昨季のレイズでも6月13日に対戦し、3打数無安打。チームも1安打零敗に抑え込まれた。

 米国代表には、通算245勝で大リーグ歴代最多のポストシーズン19勝を誇る40歳左腕のペティット(ヤンキース)も参戦予定で、若手からも2年連続ナ・リーグ最多セーブの24歳右腕キンブレル(ブレーブス)が名を連ねる。日本代表とは決勝トーナメント(準決勝、決勝)まで対戦はないが、野球大国のプライドを懸けた最強布陣は、侍戦士にとって大きな壁となることは間違いない。

 ◆R・A・ディッキー 本名はロバート・アレン・ディッキー。1974年10月29日、テネシー州ナッシュビル生まれの38歳。96年ドラフト1巡目(全体18番目)指名でレンジャーズ入り。06年からナックル投手に転向した。ツインズ、マリナーズなどを経て、メッツに加入した10年に初の2桁となる11勝。昨季はサイ・ヤング賞を受賞し、初の球宴出場も果たした。昨年12月、合計7人の大型トレードでブルージェイズに移籍。1メートル88、98キロ。右投げ右打ち。

 ≪日本選手は不慣れ≫大リーグのナックルボーラーは、通算318勝のフィル(ブレーブスなど)と216勝のジョー(アストロズなど)のニークロ兄弟や、200勝のウェークフィールドが有名。日本人で純粋なナックル投手はほぼ皆無だが、08年に引退した前田幸長(ロッテなど)はナックル系のチェンジアップを駆使。現役では加藤大輔(楽天)がナックルカーブを投げる。

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2013年1月15日のニュース