初Vの京都 試練乗り越えたエース宮原 次は完全優勝だ

[ 2012年6月4日 10:30 ]

前期優勝を決め胴上げされる京都・佐々木監督

日本女子プロ野球 京都7―4大阪

(6月3日 わかさスタジアム京都)
 日本女子プロ野球リーグは3日、わかさスタジアム京都で前期の1試合を行い、前期優勝へマジック1としていた京都アストドリームスが7―4で大阪ブレイビーハニーズに逆転勝ち。通算12勝3敗とし、5試合を残して優勝を決めた。創設3年目の京都は前期、後期を通じて初めての優勝を果たした。
【日程と結果 勝敗表】

 涙があふれて止まらなかった。3点リードした最終回2死満塁、京都・川端友紀が遊ゴロをさばくと全員がベンチから飛び出し、マウンドで歓喜の輪が出来上がった。

 創設3年目で初優勝。マジック1で迎えたこの日、不調で約1カ月間も登板から離れていたエース宮原を先発に起用した。「不安が入りまじっていた。でも、優勝が決まる試合で周囲はエースとして見てくれる。その存在感を出せるのがこの試合だった」。優勝への重圧から硬くなった初回、2番黒木に中越え二塁打を許すと、そこから3連続四球。押し出しで先制を許すと、計3失点という最悪の立ち上がりとなった。

 だが、試練を乗り越えてきた宮原に焦りはなかった。「3点取られても自分の中では大丈夫という思いがあった」。5月5日の大阪戦を最後に登板はなし。開幕からほとんどを一人で投げ抜き、疲労で体のバランスは崩れ、肘痛を誘発した。首脳陣からは休みを言い渡され、体調の再管理、フォームの見直しを義務付けられた。

 「誰かに頼るのではなく、ここが踏ん張りどころだと言い聞かせた」と毎日の走り込みで下半身を作り直すと、フォームも安定し、自然と肘の痛みも消えた。

 投げられなかった期間を思い浮かべながら、宮原は2回以降は無失点に抑えた。4回に攻撃陣から2点の援護をもらうと、続く5回には2死満塁から自らの手で逆転打を放った。

 「打って返すという強い気持ちで臨んだ。監督からは“今、いい調子で打ってるから自信を持っていけ”と強い言葉をもらった」。2番手中村香澄の直球に詰まりながら、思い切り押し返した打球は遊撃手の右を抜ける逆転中前2点適時打。投打に渡る大活躍で念願の初優勝を引き寄せた。

 「まだまだ、自分の力を出し切れていない。次の試合も打って投げてチームに貢献していきたい」。やった分だけ結果は、自ずとついてくる。前期優勝という結果に不思議もない。宮原は真のエースになり、完全優勝を達成するという新たな夢に早くも向かい始めた。

 <胴上げ投手の主将・河本が爆笑会見>キャプテンの河本が最終回1死満塁からマウンドに上がり、胴上げ投手となった。この回の頭からは守護神塩谷が2番手として登板したが、まさかの乱調で1失点。一打逆転という満塁になったところで、京都ベンチは思い切って河本にスイッチした。「シナリオ通りには行きたかったんですけど、塩谷が崩れてしまって。このいろんな思いを背負ってマウンドに上がるのは言葉に言い表せない。すごく楽しく投げられました」と主将は笑顔で振り返った。6番川崎から見逃し三振を奪うと、最後は滝澤を遊ゴロに打ち取った。直後に行われた優勝会見ではウイニングボールを佐々木監督に手渡したが、即座に監督の計らいで逆プレゼントされた。初の胴上げにも河本は「監督は重いんで、ちょっと胴上げは。これからじっくり考えたいと思います」と観客からの笑いを誘った。だが、実際は監督・コーチの胴上げもしっかりと敢行。優勝セレモニーではビール掛けならぬ、炭酸水ファイトも行われ、全員がずぶ濡れになった。初めて味わう優勝の味をしっかりと堪能していた。

続きを表示

この記事のフォト

2012年6月4日のニュース