連発のイチ 完全復活?「それを判断するのはまだ早い」

[ 2012年6月4日 06:00 ]

<ホワイトソックス・マリナーズ>勝利し、マリナーズのイチロー(右)は川崎とタッチを交わす

ア・リーグ マリナーズ10―8ホワイトソックス

(6月2日 シカゴ)
  マリナーズのイチロー外野手(38)が2日(日本時間3日)、ホワイトソックス戦に「1番・右翼」で先発出場。初回に今季2号でメジャー通算37本目の先頭打者本塁打を放つと、3回にも右越え3号ソロを放った。3番での52試合で1本塁打だったが、打順が「定位置」の1番に戻って2試合目で連続アーチを架けた。乱打戦となった試合は延長12回に代走で出場した川崎宗則内野手(31)が勝ち越しのホームを踏み、岩隈久志投手(31)が最後を締め2セーブ目を挙げた。

 水を得た魚のよう、だった。打順が3番から1番に戻って2試合目。イチローは初回、1ボール1ストライクから真ん中高めに入ってきたツーシームを弾丸ライナーで右翼席に運んだ。日本人大リーガー通算500号のメモリアルアーチを刻むと、3回には2ボールからの3球目、再びツーシームを強振。1本目とは対照的な滞空時間の長い打球が右翼席に突き刺さった。

 「ちょっと気が利いたことは言えませんね」

 2打席連続本塁打にもそう話したイチロー。ただ、3番と1番の違いを問われると、少し考えながらも「空気をものにする時間が必要なので、そこにずっと苦労した感じ」と独特の言い回しでコメントした。長打を要求される3番では相手投手の失投を引き出すために、ある程度の待球を余儀なくされていたのかもしれない。1番に戻ったこの2試合計11打席では3球目までに打ったのが8打席。自分の好きな球を自分のリズムで打つという本来の積極性が戻ってきたようだ。前日に「(1番は)僕の場所だと思いました」と語ったゆえんだろう。

 連続シーズン200安打の記録が10年で止まった昨季。打撃のポイントが微妙にずれ、自分の打撃ができず苦労しているイチローがいた。それは数字にも如実に表れ、昨年4月を最後に今季に入っても月間打率は一度も3割を超えていない。長期の「不振」といっても過言ではなかった。

 そこで今季、イチローはバッターボックスの立ち位置を変えた。昨季まではボックスのほぼ真ん中だったが、最も捕手寄りの一番後ろに立つ決断をした。スパイクおよそ2足分で、距離にして60センチ強。一塁ベースから遠ざかることで、代名詞でもある内野安打が減ることは承知の上での変革だった。

 クリス・チャンブリス打撃コーチが説明する。「イチローはより球を長く見たいと言っていた。そのために後ろに下がったとね」。下がることで、長くボールを見ることが可能となる。強く正確にボールを叩く。この日の2本塁打は、目指す打撃を体現していた。

 1番に戻ったことで、安打量産に入るのか。「それを判断するのはまだ早い」。今は口に出すことはない。結果を積み上げて証明するだけだ。

 ≪米通算6度目≫イチローの1試合2本塁打はメジャー通算6度目。前回は10年8月21日のヤンキース戦で、当時も初回に先頭打者本塁打を放ち、3回にソロ本塁打を打った。1試合2発は通算6度目だが全て2打席連続本塁打となっている。また、イチローの先頭打者本塁打はメジャー通算37本目で歴代6位。イチローは日本(オリックス)で8本放っており、日米通算では45本で日本記録1位に相当する。

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2012年6月4日のニュース