新人じゃない!沢村、強心臓デビュー2回零封

[ 2011年2月25日 06:00 ]

初の対外試合となった韓国・ハンファ戦で2回を投げ、2安打4三振無失点の投球を見せた沢村

練習試合 巨人2-3韓国ハンファ

(2月24日 那覇)
 並のルーキーじゃない!巨人のドラフト1位・沢村拓一投手(22=中大)が24日、練習試合の韓国・ハンファ戦(那覇)で対外試合デビュー。4回から2番手として登板し、最速149キロをマークするなど2回を2安打無失点4奪三振と好投した。いきなり無死二、三塁のピンチを背負ったが、高い修正能力と強心臓ぶりを発揮。次回は3月2日の西武戦(東京ドーム)に初先発予定で、開幕ローテーション確保へ突き進む。

 その実力は紛れもなく本物だ。4回、1万1000人の観客から大歓声を浴びて背番号15がマウンドに上がった。先頭の3番・鄭元碩(チョン・ウォンソク)に149キロの直球を中前打、4番・金剛(キム・ガン)にも真ん中に甘く入った球を右翼線二塁打され、いきなり無死二、三塁のピンチ。いずれも不利なカウントから痛打された。だが、ここからが沢村の真骨頂だった。

 「走者を出していかに粘れるかが投手。リズムも悪かった。腕が振れていなかったので振っていこうと思った」。顔色ひとつ変えず、冷静に自己分析。体の軸がぶれ、体重移動がスムーズにいかなかった原因を、投げ急ぎによるリズムの悪さと気づいた。すると、ゆったりとしたフォームから金勇虎(キム・ヨンホ)には直球で簡単に追い込み、1ボール2ストライクからスライダーで空振り三振。高東鎭(コ・ドンジン)には3球連続の変化球で追い込んだ後、146キロの速球で2者連続三振だ。続く打者も左飛に仕留め、悠然とベンチに戻った。

 MAX157キロの速球も魅力だが、試合途中での高い修正能力も沢村の武器である。マウンドでは常に自分を客観視し、フォームのズレを察知できるという。「自分の理想のフォームが一つあってそれと違う動きをすると分かる。右打者に外角へ引っ掛ける球が多かったら上半身が突っ込んだなとか。じゃあなんで突っ込むか。修正できる感覚はある」と自己分析したことがある。

 4回終了後には、川口投手総合コーチからも「投球のリズム、左足の上げ方がいつもより若干速い」とピンチをつくったときの悪癖を指摘されて再確認。5回は上ずっていた制球をさらに完璧に修正し、この回も2三振を奪った。それでも「カウントを不利にすれば自分を苦しめる。立ち上がりのイニングで先頭から抑えられるようにブルペンで調整したい」と反省は忘れなかった。

 首脳陣ももう新人と見ていない。原監督は「ピンチはよくあることだが、その後に落ち着いて投げたのは良かった」と強心臓ぶりを評価。次回は3月2日の本拠地での西武戦に先発予定だが、川口投手総合コーチは「次の投球で評価してあげればいい」と結果次第で開幕ローテーション入りの可能性を示唆した。「ストライクからボールになる変化球が課題なので実戦で試していきたい」と沢村。飽くなき向上心を口にする黄金ルーキーには無限の可能性が詰まっている。

 ◆沢村の前回実戦登板 宮崎1次キャンプ中の15日に行われた紅白戦(サンマリン宮崎)で紅組の先発で実戦デビュー。MAX149キロの直球と、鋭い変化球で2回を無安打無失点。許した走者は二ゴロ失策のみだった。奪三振は、2回2死から古城をフォークで仕留めた1個。原監督は開幕ローテーション入りの可能性について「いい位置で戦っている」と語った。

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2011年2月25日のニュース