三菱重工横浜“仕分け”の危機乗り越え初4強

[ 2010年9月6日 06:00 ]

<三菱重工横浜・東京ガス>ヒーローインタビューを受ける先発・亀川(手前)に拍手を送る三菱重工横浜ナイン

 都市対抗野球大会第10日は5日、東京ドームで準々決勝3試合を行い、ベスト4が出そろった。第2試合では三菱重工横浜(横浜市)が、新人の五十嵐大典外野手(23)の勝ち越し二塁打などで東京ガス(東京都)に5―2で逆転勝ち。過去最高だった88年の8強を超え、初の4強入りを決めた。また東芝(川崎市)もJFE東日本(千葉市)に快勝。第3試合ではJR九州(北九州市)がNTT東日本(東京都)に逆転サヨナラ勝ちした。6日は準決勝2試合が行われる。

【試合結果


 【三菱重工横浜5-2東京ガス】成長を肌で感じる。決してフロックではない。足取り軽くベンチから出てきた松下監督は開口一番、自ら切り出した。

 「ナイスゲームですね。ここからは未知の世界ですけど、次もいつも通り戦いたいです」

 過去最高だった88年の8強超え。初のベスト4進出に導いたのは新人・五十嵐(立大)だった。2―2の3回無死一、二塁で右中間を破る適時二塁打。「何とか走者を進める打撃をしようと思っていました」。実は最初は送りバントのサインが出ていたが、ファウル2回でカウント2ストライク1ボールと追い込まれていた。「やっちゃった」。それでも「打て」のサインに切り替わった4球目をしっかりと叩いた。初戦の王子製紙戦の4回にも犠打を失敗した上で三振に倒れていたが、今度は気持ちを切り替えて得点に結びつけた。

 業績悪化により01年からの7年半はクラブチーム化を余儀なくされ、06年には廃部の危機にも陥った。そんな過去を忘れさせるかのような快進撃に、周囲も盛り上がってきた。三菱重工横浜の加藤敏彦所長は「一時は部員の皆さんにつらい思いをさせてしまいましたが、この活躍はお客さまとの間でも話題になると思います」と商談への好影響を期待。またクラブチーム時代から金銭的な援助をしてきた後援会の会長を務める郡司登副所長は「あしたは何とか早めに仕事を切り上げてもらうよう呼びかけたい」と、この日の約4500人を上回る応援団結成に向け準備に入った。

 同じ神奈川の東芝も4強に残っているため、05年の三菱ふそう川崎―日産自動車戦以来、5年ぶりに神奈川勢の決勝戦が実現する可能性もある。創部40年目のサクセスストーリーが完結するまであと2勝だ。

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2010年9月6日のニュース