V撃で決めた松井 日米通算1500打点達成

[ 2010年5月10日 06:00 ]

<エンゼルス・マリナーズ>延長十回表一死一、二塁、決勝点となる左前適時打を放つ松井

 【エンゼルス4―3マリナーズ】エンゼルスの松井秀喜外野手(35)が8日(日本時間9日)、マリナーズ戦で日米通算1500打点を記録した。あと「1」としてから7試合足踏みしていたが、同点の延長10回に決勝の左前適時打。節目の一打でチームを連勝に導いた。通算1500打点は日本球界では過去8人。松井は2216試合目で到達した。13試合ぶりのマルチ安打もマークしたゴジラがメモリアル打点を浮上のきっかけとする。

 最高の形で記念すべき1点は生まれた。4番モラレスが敬遠された10回1死一、二塁。フルカウントから守護神アーズマの153キロを左前へはじき返した。「どんな時でも、ああいう場面で打てることがうれしいこと。ストレートを狙い、最後に甘く入ってきた」と久しぶりの笑顔。35打席ぶりの打点だった。
 9日(同10日)は開幕33試合目で初の休養を告げられていた。延長に入り、欠場前最後のチャンスで、節目にようやく到達した。巨人で889、ヤンキースで597、そしてエ軍で14打点。「走者が塁にいる場面で回る打順で、長い間ずっと打ってますから。僕だけの力じゃない。今までのチームメートの力だと思います」。感謝の言葉を並べたが、愚直なまでに信念を貫き積み重ねてきた数字が1500打点だ。
 「一番は得点へのプレーを常に心がけること。4打数4本塁打でチームが負けるより、自分が4タコでも勝つ方がいい」。巨人、ヤ軍と常勝を義務付けられる球団で常に主軸に座ってきた。本塁打や安打が難しい相手から時に犠飛を打ち、内野ゴロでも走者を還す。勝負強さだけではない献身的な姿勢が、金字塔の陰に無数に隠れている。
 だからこそ、トーリ監督、ジラルディ監督、そしてソーシア監督と大リーグで仕えた3人の指揮官は、口を開けば「RBI・guy(打点男)」と連呼する。ヤ軍時代の愛称は「パックマン」。打点をどんどん食べていく姿を、有名なゲームのキャラクターになぞらえられた。今でもヤ軍のロング打撃コーチは顔を合わせば「ヘイ、パックマン」と呼びかける。
 生みの苦しみを味わう中でも不動心を貫いた。チームはこの日、早出特打を行いハンターら主力も参加したが、松井は姿を現さなかった。不振の兆候を感じていた4月30日のタイガース戦でも今季初の早出参加を熟考したが、3時間の時差を伴う移動直後で自重した。「こういうスランプは何度もある。無理に何かを変える必要はないし、日々反省してやるべきことをやって準備する。それが近道というか、それしかない」。4回には詰まりながら左前に落とし19打席ぶりの安打。「一番悪い当たりだったけど、やはり気持ちいいもの」とV打につなげた。
 プロ18年目での到達に「あまり自分の積み重ねた数字は考えないが、もっともっと増えればいい。まだそんなにゲームの中でもいい感覚はない」と表情を引き締めた。節目突破を契機に、さらなる打点量産しか頭にはない。

 ≪指揮官「目玉飛び出るほどすごい」≫松井の復調を心待ちにし、前夜は試合後に本人と緊急会談したソーシア監督も大喜び。決勝打を「大きな一打」と称え、節目の数字に達したことを「目玉が飛び出るほど凄いね。ただ彼の才能からすれば、驚くことではない」と笑った。チームリーダーのハンターは「どこでプレーしようと、1500打点も記録したのは素晴らしい」と笑顔で祝福した。指揮官は、開幕から32試合先発出場した松井を次戦は「充電するチャンス。精神面にもいいはず」と先発から外すと明言した。

 ≪ドッキリ祝福≫日米通算1500打点となる決勝打を放った松井を、ナインは“手荒い祝福”で迎えた。後続が倒れベンチに戻ると、出迎える選手やスタッフは誰1人なし。守備に備えたり、ボードにスコアを書き込んだり。完全に無視を決め込んだと見せかけた直後に、松井の元へ一斉に駆け寄った。実はこれ、大リーグでは初本塁打を放った新人らに行う祝福。不振を心配していたからこその、ヒーローへの出迎えだった。

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2010年5月10日のニュース