名将が太鼓判 川上はマダックスになれる

[ 2009年1月15日 06:00 ]

笑顔でブレーブスのユニフォームに袖を通す川上憲伸

 中日からFA宣言し、ブレーブスと3年総額2300万ドル(約20億7000万円)で契約した川上憲伸投手(33)が13日(日本時間14日)、本拠地ターナー・フィールドで入団会見を行った。直筆の「魂」の色紙を持参し、背番号「11」のユニホームに袖を通した右腕に、名将・ボビー・コックス監督(64)は通算355勝のグレグ・マダックス投手(42)を引き合いに出して、2ケタ勝利の太鼓判を押した。川上は一夜明けた14日、帰国の途に就いた。

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 高らかな所信表明だった。英語での自己紹介を終えた川上は用意していた1枚の直筆色紙を出した。そこには太く、力強く、「魂」の一文字が書かれていた。
 「私のピッチングは魂を込めて1球1球投げること。それをアメリカの地でも実行できるよう頑張りたい。その気持ちを一筆で書いて表してみました。僕が投げるすべての球に魂を込めたい」
 会見場の名は「755クラブ、チャンピオンの部屋」。ハンク・アーロンがブ軍時代に通算本塁打記録の755号を達成したことを記念して造られた特別な部屋だ。ここで記者会見を行ったのは川上が初めてという事実からも期待の大きさが分かる。同席したコックス監督は川上の投球の映像を事前に見た上で「マダックスは制球力と緩急があるが、ケンシンもたくさんの球種をうまく制球できるし、スピードも変えられる。マダックスのようになれるし、2ケタは勝てる」と言い切った。
 大リーグ歴代4位の2327勝監督が、ともに90年代の黄金時代を築いた通算355勝の“精密機械”の名前を挙げた。川上自身も徳島商2年時に投手に転向した際に「制球が良ければ、あれほど楽な投げ方でいい投球ができるんだ、とあこがれた選手」がマダックスだった。
 レンGMも「川上は06年に215イニング投げた。当然200イニング投げてもらいたい」と日本人投手の1年目では07年松坂(レッドソックス)しか到達していない“ノルマ”を課した。球団、指揮官ともに背番号11の活躍なくしてチーム再建は達成できないと考えている。
 球場内の施設も見学して気持ちを新たにした川上。「アメリカでも逃げたら負けてしまう。中4日も球数がきちんと制限されれば安定してくる。数字より、シーズンを通じてローテーションを守りたい」。期待は時に重圧に変わる。しかし、それに屈しないだけの“魂”を持って戦う。

 ◆グレグ・マダックス 1966年4月14日、テキサス州生まれの42歳。84年ドラフト2巡目でカブス入団。ブレーブス、パドレス、ドジャースなどで大リーグ歴代8位の通算355勝。92年から4年連続でサイ・ヤング賞を受賞した。20年連続2ケタ勝利、ゴールドグラブ賞18度は史上初の快挙。91~05年に14年連続地区優勝(ストの94年を除く)を遂げたブ軍黄金期をエースとして支えた。

 ≪ローテーションの3、4番か≫川上は現在、ローテーションの3、4番手として期待されている。公式戦デビューは3番手なら4月8日の開幕カード3戦目で、昨季ワールドシリーズ覇者・フィリーズといきなり対戦。4番手なら本拠地開幕となる4月10日のナショナルズ戦で、いずれも注目を集めることは必至だ。

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2009年1月15日のニュース