阿部のおかげ!巨人5連打で逆転王手

[ 2008年11月7日 06:00 ]

<西・巨>日本一へ王手をかけ、大活躍の阿部(右)と握手を交わす原監督

 【巨人7―3西武】原巨人が6年ぶりの日本一に王手をかけた。日本シリーズ第5戦は6日、巨人が西武を相手に会心の逆転勝利で対戦成績を3勝2敗とした。1点を追う7回に怒とうの5連打で西武のエース涌井秀章投手(22)をKO。指名打者で5番に起用された阿部慎之助捕手(29)が同点ソロ、同点打などで打線を引っ張った。8日、本拠地・東京ドームで行われる第6戦をものにすれば、6年ぶりに原辰徳監督(50)が宙を舞う。

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 ついに王手だ。三塁内野席、左翼席を埋めたG党のボルテージが最高潮に達した。勝利監督インタビューの締めで、常に冷静な原監督が珍しく叫んだ。「期待してください!頑張ります!」。続いてマイクを向けられた阿部も興奮気味に持ちネタを披露した。「最高です!」。天敵涌井を攻略して、6年ぶり日本一に手をかけた。
 原監督の期待に阿部が応えた。2勝2敗で迎えた第5戦。相手先発は初戦で8回1失点に抑えられた涌井。指揮官は、過去4試合で12打数1安打、8三振の李スンヨプをスタメンから外して、5番・DHで阿部を起用した。手負いの主将は1点を追う2回、中堅に同点ソロ。再び1点ビハインドの7回1死二塁では同点右前打で一挙4点の逆転劇に貢献した。試合前のミーティングでは「相手は涌井だけど、どんどん積極的に振っていきましょう!」とナインを鼓舞した阿部が、自らのバットでもチームを引っ張った。
 リーグ連覇を決めた10月10日のヤクルト戦(神宮)で二塁帰塁の際に右肩を関節挫傷。阪神との最大13ゲーム差から大逆転Vを決めた胴上げの瞬間は都内の病院にいた。中日とのCSは欠場。胴上げは立ち会ったが、右肩に配慮して、原監督の体に触ることを自粛した。
 懸命なリハビリが奏功。打撃だけは今シリーズに間に合ったが、トレーナーの「テーピングを巻く?」の打診は「右肩に巻くと動かなくなるから」と拒否。痛みが再発する危険を冒して頂上決戦に向かった。本拠地に戻る第6戦からはDHがなくなるだけに「次は代打になるから最後だと思っていた。あれだけヒットを打たれて守備が我慢した。流れは来ると思っていた」と胸を張った。
 原監督は李スンヨプをスタメンから外しただけでなく、本調子ではないとみた先発・上原を3回であきらめた。そして阿部、中継ぎ陣ら“代役”もしっかりと活躍。シーズン同様に選手起用と積極采配が的中した指揮官は「全員の調子を考えて打線を組んだ。日本シリーズでもスタンスは変えてない」と誇らしげに語った。
 頂点まであと1勝。8日の第6戦に勝てば、原監督は今季3度目の胴上げで宙を舞う。「CSでは監督を胴上げできなかったから次は胴上げしたい」と意気込んだ阿部は最後に「でも、まだ何があるか分からない」と口を結んだ。全国のG党が待ち望む最高の“慎之助スマイル”は、歓喜の瞬間までとっておく。

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2008年11月7日のニュース