西武エースで崖っ縁…涌井魔の7回無念KO

[ 2008年11月7日 06:00 ]

<西・巨>7回1死二、三塁脇谷に2点三塁打を打たれた涌井

 【西武3―7巨人】顔を赤らめ、鼻をすする西武・涌井は涙を懸命にこらえているかのようだった。帽子を目深にかぶり、ロッカールームへと続く長い階段を無言で駆け上がった。勝った方が王手をかける重要な一戦。チームを勝利に導けなかった自分が情けなく、そして悔しかった。

 「調子?前回よりはよくなかったけど、6回まで粘れたんで悪くはなかった。援護をもらう前に打たれてしまった」。試合終了後1時間。着替えを終えた涌井が淡々と試合を振り返った。
 我慢の限界だった。6回まで失点は阿部の中越えソロのみ。1点リードでひたすら援護を待った。しかし、拙攻続きで流れは変わった。7回、同点に追いつかれ、なお1死二、三塁で脇谷に148キロ直球を左中間に運ばれて痛恨の決勝点を献上。「いつもは緩い球を使うんだけど…。直球が走っていたんで」と1球を悔やんだ。まさかの5連打で4失点。無念のKO劇に肩を落とした。
 1日の第1戦(東京ドーム)では巨人打線を8回1安打1失点にねじ伏せた。だが、この試合は細川が負傷交代し、3回から銀仁朗がマスクをかぶった。さらに「中島さんが(ケガで)代わって力でいかないとという気持ちが強くなった」と涌井。エースの強い責任感が裏目に出た。
 試合前の練習中。帆足、岸、石井一、西口ら先発陣から“気”を注入された。岸は「きのう僕がやってもらって勝てたから」。最後は帆足、岸の2人が涌井の頭の上に手を置いて「勝てるように」と念じたが、その思いは届かなかった。
 渡辺監督は試合後のミーティングで「追い込まれた獅子の強さを見せてやれ。心を一つにして第7戦まで行こう」とナインを鼓舞した。第7戦は涌井、岸も中継ぎ要員としてスタンバイする。崖っ縁に追い詰められたが、獅子の目はまだ死んではいない。

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2008年11月7日のニュース