子どもの命や健康をどう考えてんの? 資源のない日本を支えるのは彼らやで

[ 2023年5月29日 18:20 ]

鳥内秀晃氏
Photo By スポニチ

 【名将・鳥内秀晃の人間話 頼むでホンマ】また、痛ましい出来事があったな。福岡県で野球部員の高校生がライナーを胸に受けて、亡くなった事故や。AED(自動体外式除細動器)は備え付けてなかったんかな。あったのに、使い方が分からへんかったんかな。処置さえちゃんとしてたら、一つの命が助かったと思ったら、ホンマに残念やな。

 けど、こういう事故が過去にも一杯起きてるのに、高野連は何でもっと真剣に安全対策に取り組めへんのやろ。アメリカンフットボールの場合、練習場や試合会場にAEDを常設するのは、当たり前のことやで。政府は少子化対策と声高に言うてるけど、それ以上に子どもの安全を守ることは重要やろ。文科省とかスポーツ庁が本気で取り組まへんかったら、また同じことが起きてまうで。AEDの設置だけでなく、投球者の胸パッド着用を義務化するとか、やれることはいくらでもあるやん。はよ着手してほしいな。

 子どもの健康に関していうと、国は学校給食費の無償化を3月に公表したやろ。それはええねんけど、オレの住んでる大阪市って、給食の内容がホンマにひどいらしいわ。質も量も、育ち盛りの子が満足できるようなもんちゃうで。地産地消したり、メニューに一工夫を凝らしている地域がようけあるのに、材料費ケチってどないするねんって話やな。

 今は共働き世帯も多くて、時間的制約を考えたら、確かに給食は助かるわ。せやけど、家で作ってもらう弁当よりカロリーや栄養価で劣ってたら、本末転倒やで。みんな育ち盛りで、さらにスポーツや課外活動してたら、給食だけで足りひん時もあるやん。弁当を持ってこられる家庭は給食プラスで持参させて、栄養を補給したらええんちゃうの。日本って、変な平等主義がはびこっていて、何かを統一する時、すぐに下のレベルに合わせるやん。それっておかしいで。

 勉強かて、そうやん。日本では小中高校の「飛び級制度」が未だにないのも疑問やわ。できる子は、海外みたいに、どんどん進級させたったらええやん。みんながみんな、それだけの学力を備えてるわけやないし、学校に一人もいてへんかもしれへん。認めてやることが重要なんちゃうかな。

 日本のシステムでは、なかなか突出した存在は出てけえへんわな。しかも勉強して大学や大学院に進んでも、研究費が少ないから、みんな国外の大学へ流出してまう。人口が減るわ、優秀な人材に逃げられるわでは、この国はあかんようになってまうで。いつも言うように、資源のない国やねんから、研究や学問に補助金を出して、人を育てていかな。頼むで、ホンマ。(関西学院大アメリカンフットボール部前監督)

続きを表示

「羽生結弦」特集記事

「テニス」特集記事

2023年5月29日のニュース