6度目五輪出場の寺内健 会場のスタオベに「幸せを感じた」 そして「濃い醤油味のラーメンを食べたい」

[ 2021年8月3日 18:51 ]

東京五輪第12日 男子板飛び込み決勝 ( 2021年8月3日    東京アクアティクスセンター )

男子板飛び込み決勝 最終演技を終え引き揚げる寺内健
Photo By 共同

 男子板飛び込み決勝で寺内健(40=ミキハウス)は359・70点の12位に終わり、04年アテネ五輪以来17年ぶりの個人種目での入賞を逃した。夏季五輪の日本人最多タイ6度目出場。予選の10位、準決勝の7位から順位を落としたが、最終演技後には世界各国の選手、コーチから惜しみない拍手を浴びた。

 最終演技を終えると、感動的な光景が待っていた。世界各国の選手、コーチからのスタンディングオベーション。涙をグッとこらえた寺内は「感動しかない。長く挑戦してきてよかった。15年前の自分なら(12位の結果が)恥ずかしくて、そそくさと帰っていたかもしれない。メダルを獲れなかった悔しさはあるが、それ以上に幸せを感じた」と声を震わせた。

 筋力の衰えもあり難易率の低い演技構成で精度の高いジャンプを揃える戦略を敷く中、3本目で入水が大きく乱れる痛恨のミス。硬い板を攻略するため深い位置での踏み切りを続けていたが、指先がわずかにはみ出して演技に高さが出なかった。日本飛び込み界初のメダルには遠く及ばず「自分をコントロールしきれなかった」と反省。馬淵崇英コーチ(57)からは「よく頑張った。この拍手が全てだよ」と声を掛けられた。

 96年アトランタ五輪に15歳で初出場。09年に一度引退し、会社員として水着の販売や企画を担当した。10年8月に現役復帰。背中を押したのは競泳平泳ぎ五輪2大会連続2冠の北島康介氏の「健ちゃん、また一緒にやろうよ」の言葉だった。不惑を迎え、今月7日が41歳の誕生日。国際大会では世界各国でコーチや審判を務める元戦友と再会することも楽しみのひとつとなっている。

 決勝進出者12人の平均年齢は26・5歳で、寺内は断トツの最年長。22、23年に世界選手権、24年にパリ五輪を控えるだけに、去就については「続ければ終われないループに入る。生半可な気持ちでは決められない。この10年で一番感慨深い大会だった。それも含めて考えたい」と明言を避けた。

 報道陣から「今やりたいことは?」と質問を受けると「40歳として言っていいのか分からないですが、濃い醤油味のラーメンを食べたい」と笑った。「決勝でもっときれいな演技を見せたかった。それだけが心残り」。魂を込めたダイブで生き様を示した飛び込み界のレジェンド。その雄姿をパリでも見たい。

続きを表示

この記事のフォト

2021年8月3日のニュース