張本 最年少日本一!東京五輪会場で歓喜「ここで金獲りたい」

[ 2018年1月22日 05:30 ]

卓球全日本選手権最終日   男子シングルス決勝 張本4―2水谷 ( 2018年1月21日    東京体育館 )

卓球全日本選手権男子シングルスを制し、ガッツポーズで駆け出す張本
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 天才少年が日本の頂点に駆け上がった。男子シングルス決勝で、張本智和(14=エリートアカデミー)が、水谷隼(28=木下グループ)を4―2で撃破。14歳208日での戴冠は、男女通じて史上最年少記録となった。20年東京五輪の卓球会場で金字塔を打ち立てた天才少年が、日本のエースとして夢舞台へ歩を進める。

 人生はまだ、15年にも満たない。それでも、自信を持って言える。「今までで最高の瞬間だった」。2歳で初めて握ったラケット。約12年の卓球歴で、胸を張って言える。「今までで一、二を争ういいプレーだった」。14歳208日での戴冠は男子の水谷(17歳226日)、女子の平野(16歳283日)を上回り、男女通じて史上最年少。張本が歴史を塗り替え、日本一に駆け上がった。

 「相手が水谷さんだったから、120%の力が出た。今回は実力で勝ったって気持ちがある」

 17年世界選手権2回戦で勝った水谷との頂上決戦。前回対戦時は「勝つ確率は5%」だったが、今回は「50%50%」とにらんでいた。バック、フォア、サーブ、レシーブ全てで高次元のプレーを見せ、V9王者を圧倒。勝利の瞬間、おなじみ「チョレイ!」の絶叫はない。両拳を握りしめ、駆けた。視線の先には、コーチで父の宇(ゆ)さんがいた。

 「いい時も悪い時も表情を変えずに優しく接してくれた。ずっと教えてくれて、この瞬間まで待っていてくれた。一番、感謝したい人だった」

 昨年の全日本はジュニアのシングルス準々決勝で敗れ、「死にたいくらいつらかった」と号泣。上位進出を狙った一般のシングルスも4回戦で散った。あれから1年。距離感が近い家族だからこそ衝突したこともあったが、父はいつもそばにいた。宇さんは24日が48歳の誕生日。地元の仙台で声援を送った母・凌(リン)さんは、ジュニアを制した18日が45歳の誕生日。両親へ最高のプレゼントを贈った。

 20年東京五輪の卓球会場、東京体育館で6500人の大観衆は確かに黄金のポテンシャルを見た。日本のエースとして、TOKYOへ。「優勝できたので、もっと成長のスピードは速くなる。また、ここに戻ってきて、金メダルを獲れるようにしたい。ここからは自分の時代にしたい」。打倒中国、世界ランク1位、五輪金メダル。張本なら、どんな夢でも実現可能だ。

 【張本 智和(はりもと・ともかず)】

 ☆生まれとサイズ 2003年(平15)6月27日、宮城県仙台市生まれの14歳。伸びが止まりつつある身長は1メートル73、62キロ。

 ☆家族 父・宇さんがコーチ、母・凌さんは95年世界選手権の中国代表。小学3年の妹・美和も強豪選手。14年春に父、妹とともに国籍を中国から日本に。

 ☆卓球歴 2歳でラケットを握る。全日本選手権は小学生時代にバンビ(小2以下)、カブ(小4以下)、ホープス(小6以下)を6連覇。

 ☆最年少記録 今大会の他、16年世界ジュニア選手権の男子シングルス金メダル、17年世界選手権男子シングルス8強、ワールドツアー優勝などで記録を保持。

 ☆世界ランク 初登場は15年3月で307位。自己最高は18年1月の11位。

 ☆好きなバンド 日本の3人組ロックバンド「WANIMA」。

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