白鵬40度目V!3横綱休場に暴行問題…“逆風場所”で存在感

[ 2017年11月26日 05:30 ]

大相撲九州場所14日目   ○白鵬―遠藤● ( 2017年11月25日    福岡国際センター )

40度目の優勝を飾り、感無量の様子で土俵を降りる白鵬
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 千秋楽を待たずに横綱・白鵬が2場所ぶり40度目の優勝を決めた。2敗だった平幕、北勝富士と隠岐の海が敗れて3敗となり、白鵬は結びで遠藤を下して13勝1敗とし自身の最多優勝記録を更新した。また、単独の年間最多勝も決定。2年ぶりのタイトル奪還で、こちらも10度目と大台に乗せた。日馬富士による暴力問題に続き、3横綱休場という異例の場所で、第一人者がその存在感を見せた。

 隠岐の海と北勝富士が先に敗れ、「マジック1」で迎えた結び。白鵬は平幕・遠藤に格の違いを見せた。左の張り手と右のかち上げで土俵際まで吹き飛ばし、軽々と押し出した。06年夏場所で初優勝したときには「想像できなかった」という前人未到の大台、40度目の優勝。大きな目標でもあったのに、得意満面とはいかなかった。過去39回とは違う複雑な感覚があった。

 大相撲が危機に直面した時代と、日馬富士の貴ノ岩への暴行事件に揺れた今場所が重なった。取組後は「ホッとした」と笑顔もあったが、支度部屋では顔つきが違った。「7年前に大変な場所を経験して。またこういうことがないように、と思っていたけど…」。ここで約10秒、沈黙してから、声を絞り出した。「本当に申し訳ない思いでいっぱい。ファンは温かい声援を送ってくれる。本当にありがたいと思います」

 事件を起こしたのは、あくまで日馬富士。それでも白鵬は、最高位としてファンに謝罪せずにはいられなかった。脳裏に浮かんだのは7年前の10年夏場所中から続いた一連の不祥事。野球賭博問題と、その捜査過程で八百長問題が浮上。2つの事件で現役力士多数が処分を受け、客足は遠のき、懸賞金も激減した。

 あれから7年たち、ようやく相撲人気が回復。そこで起きた暴行事件。白鵬にも厳しい目が注がれる中で、圧倒的強さと存在感を見せた。11日目、嘉風に敗れた後に土俵下で約1分、立ち合い不成立を主張。これが強い批判を浴び、翌日、審判部に呼び出され謝罪。並の力士なら集中力を失うところだが大横綱は違った。むしろ黒星で目が覚めたように、相撲が厳しくなった。

 場所後には参考人として鳥取県警の聴取が待っている。一人横綱の責任を土俵で果たした白鵬は、千秋楽をきっちり締めた後、再び最高位の責任を果たす。

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2017年11月26日のニュース