凪ってる?

[ 2016年11月13日 07:30 ]

ヘッドチューブにはカープのロゴ

 【我満晴朗のこう見えても新人類】意外とこれ、お宝かもしれないな…。広島カープ公認のミニベロ「凪(なぎ)バイク NS451―F―CA」。今夏あたりからじわじわと噂になっていた逸品を、11月初旬に千葉県・幕張メッセで開催された「サイクルモード」で直接見ることができた。

 カープのチームカラーと全く同じ、深みのある赤に染められたフレームが美しい。ヘッドチューブにはおなじみの「C」マーク。ボトムチューブにはユニホーム同様「Carp」のロゴが躍り、シートチューブ後方ではカープ坊やがバットを構えている。赤ヘルファンにはたまらない限定品。

 実はこのミニベロ、広島県尾道市に本社を置くアンデックスの製品だ。同社は自動車用塗装設備・乾燥装置のメーカーとして有名。国内ではトップシェアを誇っているという。そんな自転車とはあまり関係のない企業が社内ベンチャーとしてスポーツサイクル制作を始めたのは2010年。地元・尾道と愛媛県今治市を結ぶ世界有数のサイクリングロード「しまなみ海道」を快適に走るミニベロをコンセプトに「凪バイク」を独自開発した。
 社内ベンチャーゆえ大規模なプロモーションは全く打てなかったものの、元ツール・ド・フランス覇者のグレッグ・レモン氏や、自転車芸人として有名な安田団長らが愛用していることから徐々にブランドとしての知名度が上がってきた。

 「カープ限定ミニベロ」発売のきっかけとなったのは、2月の日南キャンプだった。選手が宿舎から球場に通う際に便利だからと地元のホームセンターで自転車を購入するケースがある。ならば広島の地場産業であるアンデックスで10台提供できないかと、球団に提案したという。早速自社製品をカープカラーに染め上げて日南に持ち込んだ。選手やスタッフたちは大喜び。球団では、NAGIBIKEを「通勤」に使用するコーチがいるほどだ。

 同社の高橋要一チーフ・プロデューサーによると、球団との交渉を経て、7月には限定100台で販売を開始。チームの快進撃に比例するかのように売り上げが伸び、11月当初の時点で80台ほどを販売した。つまり残りは約20台しかない。「優勝を見込んで売り出したわけでは決してないのですが、本当に最高のタイミングでした」と高橋さんも驚きの表情を浮かべるばかり。

 アルミフレーム×クロモリフォークの割に総重量は9・8キロ(ペダル・スタンド別)に抑えられているし、メインコンポ(2×8速)にはシマノのクラリスを使用と、信頼性も十分だ。限定をうたっているだけに「追加制作の予定は全くないんです」とは同社スポーツサイクル事業部の最本康久さん。

 繰り返します。残り20台しかありません。メーカー希望小売価格で税別17万円ですが、ファンのみなさん!25年ぶりのリーグ制覇記念品として1台、いかがでしょう。
 このコラムが世に出る頃には完売しているかもしれませんが…。(専門委員)

 ◆我満 晴朗(がまん・はるお)1962年、東京都生まれ。ジョン・ボンジョビと同い年。64年東京五輪は全く記憶にない。スポニチでは運動部などで夏冬の五輪競技を中心に広く浅く取材し、現在は文化社会部でレジャー面などを担当。たまに将棋の王将戦にも出没し「何の専門ですか?」と尋ねられて答えに窮する。愛車はジオス・コンパクトプロとピナレロ・クアトロ。

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