高橋 ファイナル制覇へまずGPシリーズ5勝目

[ 2010年10月25日 06:00 ]

情熱的な演技を見せる高橋。2位に大差を着け、優勝を飾った

 フィギュアスケートGPシリーズ第1戦NHK杯最終日は24日、愛知県名古屋市ガイシプラザで男子フリーが行われ、SP首位の高橋大輔(24=関大大学院)は4回転トーループを決めるなどして、トップの156・75点をマーク。合計を234・79点とし、2位に16・60点差をつけて圧勝した。日本男子最多タイのGPシリーズ5勝目で、ファイナル(12月9日開幕、中国・北京)進出に大きく前進。バンクーバー五輪銅メダル、世界選手権金メダルと日本男子の歴史を塗り替えてきたエースが、ファイナル初制覇も視界にとらえた。

 完ぺきな演技でなくても、ライバルたちとは役者が違いすぎた。スタミナが切れた後半に2度ジャンプをミスしながら、2位のアボットに16・60点差。3季ぶりのGP優勝で織田に並ぶ日本男子最多の5勝目を挙げた高橋は「直すところはたくさんあるけど、初戦としてはまあまあの出来」と手応えを口にした。

 冒頭の4回転トーループを完ぺきに着氷。昨季は7度のトライですべて失敗した4回転ジャンプだが、2日のジャパン・オープンに続いて2戦連続で成功した。絶好調モードに見えるが、右ひざの手術明けだった昨季とは違う意味で、今季は不安を抱えている。復帰までのリハビリ、今オフのトレーニングでパワーアップした右ひざに感覚が追いつかない。「ひざの曲げ伸ばしが早くなった。ジャンプの微妙な調子を合わせるのが難しい」。そんな中で決めた大技だけに、長光コーチは「シーズン終盤にはレベルが1つ上がる」とさらなる進化を予言した。

 「心にグっとくる」をテーマに掲げるアルゼンチン・タンゴのフリー。自慢の表現力は圧巻で、5項目の演技点は断トツのトップ。音楽の解釈では驚異的な8・61点をマークした。SPでタンゴに挑んだ昨季とひと味違う演技を見せたが「違う解釈をしようとしてるけど、つい見せつけちゃいそうになる。表情がマンネリ化してますね」と満足感はない。

 五輪金メダルのライサチェク、同銀メダルのプルシェンコが不在の今季は、もはや敵なしと言っても過言ではない。次戦のスケートアメリカ(11月12日開幕)で上位に入れば、世界の強豪6人が集結するGPファイナルに進出。ファイナル制覇なら、日本男子初の偉業だ。「まだシーズンは始まったばかり。改善できるところは改善していきたい」。進化を止めない王者が、絶対的な主役として君臨する。

 ≪振り付けのカメレンゴ氏は及第点≫昨季フリーの「道」に続いて、今季フリーの振り付けを手掛けたイタリア人のカメレンゴ氏は、会場で高橋の演技を観戦。「改善点はあるけど、きょうの演技には満足している」と称えた。今季フリーの使用曲候補は12曲の中から、高橋自身が「アルゼンチン・タンゴ」をチョイス。同氏は「ドラマチックな解釈で演じられるようになってほしい」と注文も忘れなかった。

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2010年10月25日のニュース