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塩試合で優勝のポルトガル

優勝杯を掲げ喜びを爆発させるポルトガル代表C・ロナウド(中央)(AP)
Photo By AP

 こんなんでも優勝できちゃうんだ。ユーロでのポルトガル優勝に、正直そう思った。90分間で勝てたのは7試合中1試合だけ、グループリーグは3戦すべて引き分け、グループ3位のワイルドカードでのベスト16入りだった。

 今大会のポルトガルの特徴といえば、いわゆる“塩試合”を意図的に作り上げていたことだろうか。

 本来、ポルトガルはテクニックに優れた攻撃型のチームだ。大会が始まったときもそうだった。ところが、自分たちのポゼッション・スタイルのあまりの効率の悪さに嫌気がさしたのか、途中で守備的な戦法にがらりと変えている。いくつかのポジションを運動量と守備力のある選手に入れ替えた。そこからのポルトガルは、ひたすら試合を膠着させるためにプレーしているかのようだった。

 今回のユーロは、攻撃に対する守備の優位が目立っていた。過去2大会を連覇したスペインのような包囲攻撃の脅威はかなり削り取られている。ゾーンの守備ブロックにとって頭痛のタネだった「間受け」と「ニアゾーン」への対策が 浸透したからだ。ディフェンスラインを5人に増員、あるいは4バックの場合でもサイドのMFが引く4+1の形が主流となった。そのために横へのスライドが速くなって「ニアゾーン」が消滅、人数が余っているディフェンスラインから前へ出ての「間受け」潰し、この2つの対策の浸透によって以前よりは安心して守れるようになった。得点できなくなったボールを支配している側は、攻撃を増強するよりもむしろ相手のカウンターを防ぐことに気を遣うようになっている。イタリアのカウンター封じに万全を期したドイツが典型である。

 そんな“攻めたもの負け”の雰囲気の中、あっさりと宗旨替えしたポルトガルは正しく空気を読んでいたといえるかもしれない。持ち前のテクニックを相手のハイプレス回避とゲームのスピードダウンに活用し、どちらのチームにも隙が出来にくい膠着状態を作り上げた。だからポルトガルの試合はことごとく退屈なのだが、そういう展開に持ち込んだこと自体がポルトガルの勝因だったといえる。(西部謙司=スポーツライター)

[ 2016年7月14日 05:30 ]

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