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【オシム観戦記1】審判よりも多くの“ミス”おかしたクロアチア

[ 2014年6月14日 10:30 ]

エリア内で倒されたとアピールするブラジル代表FWフレッジ(下)(AP)

 W杯が開幕した。優勝候補のブラジルが逆転勝ちしたが、クロアチアも鋭いカウンターでブラジルを苦しめた。元日本代表監督のイビチャ・オシム氏(73)はW杯期間中、鋭い視点で試合を分析。開幕戦は優勝を狙うブラジルの死角、クロアチアの可能性などについて切り込んだ。

 W杯は世界最強国を決定するとともに、世界のサッカー界が進む方向性を示す大会になる。とくに10年、20年後のサッカー界を担う子供たちに見てもらいたい。狭い自分の国のことだけでなく、どんな世界がどこにあるのかを知るきっかけになるだろう。

 私の故郷のボスニアや、開幕戦に出場したクロアチア、その隣のセルビアなどでは先月の洪水の被害から立ち直っていない。また、世界中で紛争が続いている。苦しんでいる人々がいることも忘れないでほしい。W杯では、人々を励ますようなプレーを期待する。

 開幕戦の西村主審の判定について、とくにクロアチアでは激しい批判の意見が聞かれるが、私に言わせれば、クロアチアの選手たちの方が主審のミスよりも多くのミスをおかしていた。ミスはサッカーの構成部分だ。選手であれ、審判であれ、誰かがミスをすることに、どのように備えるか、どのように反応するか、相手のミスをどのように利用するかによって試合の流れが変わる。

 PKの場面に限らず、主審はいくつかのミスをおかしていた。結果的にそれがブラジルに有利になった。しかし、それもサッカーなのだ。クロアチアは1―0でリードした時点で、もっと有効なプレーをすべきだった。あの状況を生かすことができなかったのは、クロアチアの側に責任がある。PKの場面は、ペナルティーエリア内にやっかいなフレッジの進入を許したところが根本的な問題だ。ブラジル相手にサプライズを起こそうと思うなら、もっと良いプレーをしなければ。

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2014年6月14日のニュース