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2発!ネイマールのW杯が始まった ブラジル白星発進

[ 2014年6月14日 05:30 ]

<ブラジル・クロアチア>前半、29分、同点弾を決めて、雄叫びを上げるネイマール (AP)

W杯1次リーグA組 ブラジル3―1クロアチア

(6月12日 サンパウロ競技場)
 ゴールデンボーイがド派手なW杯デビューを飾った。世界中が注目するサッカーの祭典が12日(日本時間13日)、開催国・ブラジル―クロアチア戦で開幕。6度目の頂点を目指す王国はエースのネイマール(22=バルセロナ)が、同点&決勝点の2ゴールを挙げ3―1で逆転勝利を収めた。母国の期待を一身に背負う背番号10は、ファン投票によるマン・オブ・ザ・マッチも獲得し、ブラジル全土を歓喜の渦に巻き込んだ。

 試合終了間際の後半43分、交代を告げられたネイマールが、サイドラインをまたいでベンチに向かう。360度、鮮やかな黄色に染まったスタンドからは、耳をつんざく歓声と拍手が背番号10に注がれた。

 「とても幸せだよ。今まで夢に見たり、想像したことがないほど、本当に幸せ」。今大会の出来を占う大事な初戦。試合は予想外の展開となった。前半11分、世界最高峰の左サイドバックと評されるマルセロが相手のクロスをクリアミスし、まさかのオウンゴールで先制点を許す。さらに、ネイマール自身も同27分に空中での競り合いでMFモドリッチの顔に肘が入ったとして大会第1号の警告を受けた。

 嫌なムードがピッチを覆う。しかし、王国の未来を担う22歳の若者はタフでしたたかだった。前半29分、オスカルからパスを受けて中央を攻め上がると、約20メートルの距離から左足を振り抜いた。球足の速いグラウンダーは、相手GKの手をかすめ、右ゴールポストに当たってマウスに吸い込まれた。スタンドを興奮の渦に巻き込む同点ゴール。さらに、後半26分にはFWフレッジが得たPKのキッカーを任され、GKの手をはじきながら勝ち越しゴールを決めた。

 「勝ちたかったし、2得点を決めてW杯をスタートできたことは、最高に幸せ」。昨年6月、コンフェデレーションズ杯直前のイングランド戦で10番を自ら希望し、背負った。そして4得点を決めMVPにも輝いたが、周囲の評価は芳しくはなかった。

 W杯開幕直前の11日、元代表のペレ氏に英国の公営放送BBCで「ネイマールは若い。全ての責任を背負い込むには重圧が大きすぎる。ブラジルの歴史で、初めて攻撃よりも守備能力が高いチーム」と論評された。母国の英雄の言葉は重かったが、10番を継承した男は言葉ではなく結果で“反論”。代表50試合目での通算33得点は、そのペレ氏の30試合に次ぐ、同国歴代2位のスピード記録となった。

 大会前にはバルセロナで同僚のメッシと「ブラジルとアルゼンチンで(決勝を)戦おう」と約束した。その舞台は64年前、決勝でウルグアイに敗れ悲劇に沈んだマラカナンスタジアム。そこまでの道のりは長いが、ブラジル国民2億人の夢と10番を背負うプレッシャーを力に変えた男に、不可能などないはずだ。

 ▽ネイマール(ネイマール・ダ・シウバ・サントス・ジュニオール)1992年2月5日生まれ、ブラジル・サンパウロ州出身の22歳。12歳でサントスの下部組織入り。09年に17歳でトップチームデビュー。昨夏バルセロナへ移籍。今季スペイン1部リーグで26試合9得点。10年8月の米国戦で代表デビュー。昨夏のコンフェデ杯で全5試合に出場し4得点2アシストでMVP。国際Aマッチ通算50試合33得点。未婚だが、11年8月に一般女性との間に男児が誕生。現在の恋人は人気女優ブルーナ・マルケジーニ(18)。1メートル75、64キロ。利き足は右。

 ▼マラカナンの悲劇 1950年大会で、地元ブラジルは勝てば初優勝が決まる決勝リーグ最終戦でウルグアイに1―2と逆転負け(準優勝)。20万人近い観客のうち2人がショック死、2人が自殺、その他大勢が失神したと伝えられている。

 

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